2014年(平成26年)8月・創刊号

発行所:株式会社 山田養蜂場  http://www.3838.com/

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岡山県苫田郡鏡野町 山田養蜂場

近くに咲いているシロツメグサには目もくれず、一直線に飛び出して蜜を採りに行く働き蜂たちが飛ぶと、ウォーンという羽音が体を包み込む

羽音が体を包み込む真夏の養蜂場

青々とした稲穂を揺らして涼やかな風が吹いている。岡山県苫田郡鏡野町で定置養蜂を行う山田養蜂場養蜂部を訪ねた盛夏のことだ。田園風景の中にある養蜂場を訪ねると、上下2段になった養蜂箱が約50組、蜜蜂の出入り口を同じ方向に向けて整然と3列に並んでいる。巣箱に近付いていくと、ウォーンと空気の振動として伝わってくる蜜蜂の羽音に体が包み込まれた。その途端、微かに不安が立ち上がり、体全体が硬くなるのを感じた。忘れかけていた痛さの記憶が呼び覚まされたのだ。

山田養蜂場養蜂部は、鏡野町を流れる香々美川と吉井川に沿って開ける鏡野盆地と、その奥に中国山地が連なる変化に富んだ地形を活かして、鏡野町内に幾つもの養蜂場を設置している。

蜜蜂たちは、巣箱から一直線に飛び出して蜜を採り、一直線に戻ってくる。巣箱の前にうつ伏せになって蜜蜂たちの動きを観察していると、きびきびと働く一匹一匹の蜜蜂にエネルギーを感じる。時折、私の被っている麦わら帽子に突き当たってくる蜂もいるが、通行を妨げる私の存在には構わず、一目散にお尻を振って巣箱へ入っていく真剣な姿が愛おしい。

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