2017年(平成29年4月) 22号

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 ひと泳ぎの後、夏の昼下がりに海辺のレストランでいただくクリームソースを絡めたサラダといった印象だ。ズッキーニの麺が見た目よりもシャキシャキと歯応えがあり食欲をそそる。ところが今回の料理を担当したローフードマイスター1級の資格を持つ料理人坂本昌子さんは、サラダではなく、れっきとしたローフードという分野の料理なのだと言う。

 「基本はお野菜だけなので、サラダの感じなんですけど、カシューナッツが入って、タンパク質もナッツで摂れます。アメリカの西海岸で50年以上前から始まった火を使わない料理なんです」

 「火を使わないのは体のためなんですけど、酵素を体の中に取り入れて、溜まっている老廃物を酵素で出すという考え方なんですね。体の中に溜まっている老廃物って、植物酵素が入ると体の中の酵素が動き始めて出ていくんですね。ほとんどお野菜ですから、すごくヘルシーです」

 「百聞は一見にしかず」である。さっそく坂本さんに「パスタプリマベーラ」を作っていただくことにする。

 「最初にレモンを搾っておきますね。使うのは大さじ1杯と半分なんですけど、ローフードは結構レモンを使うので……。始めにアボカドソースを作ります。ソースを作るには、バイタミックス(Vitamix)というアメリカ製のブレンダーがありまして、ローフードではこれを基本使うんですね。高速回転ブレンダーなんですけども、この中に材料をどんどん入れていきます」

 坂本さんはアボカドを二つに割ると、左手に持ったアボカドの種に包丁の刃を立てて横に捻ると、種はスポッと取れた。

 「アボカドの皮はベタベタするから剥きにくいという方が多いんですけど、4等分して舟形の端の方からめくるように取るときれいに取れますから」

 4つに切って皮を剥いたアボカドをバイタミックスの容器に入れ、次は生のカシューナッツを大さじ1杯入れる。

 「生のカシューナッツなんですけども、お水に3時間ぐらい浸水させて使います。硬い状態のままですと酵素を抑制する成分が入っているので、お水に浸けることでそれを取り除きます。次は、お味噌です。これもローフードには必ず出てくるんですけど、白味噌を大さじ2分の1杯。昔からアメリカにも味噌文化はあります。大豆の文化があるので豆乳などを飲む人は多いんじゃないですか」

 続いてニンニク2分の1片を包丁の腹で潰して加え、それから搾っておいたレモン汁を大さじ1杯と半分を加える。次は、オニオンパウダーだ。

 「これはオーガニックのものですね。小さじ1杯ぐらい加えます。次に黒胡椒を小さじ3分の1ぐらいですね。塩を小さじ3分の1です。ここでリンゴ酢を少し、酸味を入れます。大さじ2分の1杯ぐらいですね。お水も少し入れます。3分の1カップ。後は、オリーブオイル、こちらは結構入れます。お水よりもちょっと少ないぐらいで、4分の1カップほど入れて、とろみを出しております。本来だとニンニクをオリーブオイルで炒めてソースを作るんですけども、火を使わないので直接オリーブオイルを入れます。全部生でいただくので、オーガニックなものや体に良いものを選んでくださいね。最後に蜂蜜です。蜂蜜は大さじ1杯入れますね。これらを全部、バイタミックスで攪拌します」

 次々に材料を容器に入れていくだけで、オニオンパウダーの香りを始め、そこはかとなく海辺のレストランを思わせる香りが漂い始めた。

 坂本さんは容器を機械にセットすると、「ちょっと量が少ないので、タンパーという棒で押さえながら攪拌します」と言って、バイタミックスのスイッチを入れた。ガッガッガッと大きな音がして攪拌が始まったが、10秒ほどで急に滑らかな音に変わり、50秒ほどすると更に滑らかな音に変化した。ちょうど1分でスイッチを切ると坂本さん、「クリーミーな感じになりましたね。ちょっとすみません、味見を。はい、大丈夫だと思います」と、ホッとした表情を見せた。

 出来上がった「クリーミーアボカドソース」を一旦ボールに移し、坂本さんは今日の料理の主役となる野菜の調理に取りかかった。

 「すごく作りやすいと思います。もう、切って和えるだけですから」と坂本さんは、サヤエンドウを一口大に斜め切りし、軽くオリーブオイルと塩をまぶした。続いて、真っ赤なプチトマトを4つ割りにしていく。

 「ズッキーニの麺を作るんですけど、ヘタの部分だけを切り落としまして、ここでベジタブルスライサーという機械を使います。ズッキーニを真ん中に挟みまして、ちょっと押さえながらハンドルを回転させますと、受け皿の側にズッキーニの麺が出てくるんです。皆さん、ズッキーニの料理に困られる方が多くって、油で炒めるか天ぷらとして出てきたりで、ちょっと水っぽいのですよね。今回の料理はズッキーニが主役になるので、結構、皆さん喜ばれます」

 そんな話をしながらベジタブルスライサーのハンドルを回していると、受け皿はズッキーニの麺で一杯になった。後は、食べやすい長さにキッチン鋏で切って大きめのボールに入れ、先に作っておいたクリーミーアボカドソースで和えていくだけだ。しかし、一度にソースと麺を絡めようとすると均等にいかないので、ソースを少しずつ加えながら万遍なく麺に絡ませていかなければならない。ソースとズッキーニの麺が均等に絡んだところで、一口大に切ったサヤエンドウとプチトマトを加えて軽く和え、器に盛り付けた後でバジルを添えれば出来上がりだ。

 「蜂蜜を入れるのは、やはりコクを出すためですね。アボカドだけのクリームだとちょっと淡泊であっさりした味なんです。煮込まない料理なので、どうしてもコクって出にくいんです。そういう場合、蜂蜜を入れることでコクというか重みのある味が出せますね。夏の食欲がない時などのお昼だったら、今日ぐらいの量で充分満足していただけると思うんですね」

 白いテーブルクロスにランチョンマット、大ぶりのガラス器に盛られた「パスタプリマベーラ」は一足早い夏の気配と上品さを漂わせていた。しかし、私の写真撮影で時間を掛けたためズッキーニの水分が出てしまい、せっかくの「パスタプリマベーラ」が少々水っぽくなってしまった。

 せっかくの料理が台無しになって不満そうな坂本さんの視線を背中に感じながら、ミントティーと一緒に「パスタプリマベーラ」をいただく。ズッキーニの麺に絡むアボカドソースの濃厚さと満足させるボリュームは確かに一品料理として印象的だ。

坂本昌子(さかもと しょうこ)

自らの難病を克服するため7年前からローフード生活を始めた結果、病気を完治できたことから多くの方にローフードの良さを広めたいと、2014年に日本リビングビューティー協会ローフードマイスター1級を取得し、自宅にて「Raw Food BLOMMA」として料理教室を開設。宮崎産の有機野菜や添加物フリーなものを素材として使用し、ローフード料理のフルコースを紹介している。その他、毎月「食卓に楽しめる空間」として、インテリアショップPlejourが取り扱う器を使ったテーブルコーディネートも提案している。

① 材料を揃える(2人分はこの半分)

② レモン汁を搾っておく

③ 4つ切りにしたアボカドの皮を剥く

④ レモン汁大さじ1杯と半杯を器に入れる

⑤ オニオンパウダーを加える

⑥ リンゴ酢大さじ2分の1を加える

⑦ オリーブオイル4分の1カップを加える

⑧ 蜂蜜大さじ1杯を加える

⑨ 材料全てを器に入れ終わる

⑩ バイタミックスで攪拌する

⑪ ズッキーニの麺をスライサーで作る

⑫ ズッキーニ麺や野菜をソースで和える

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