2015年(平成27年4月)5号
発行所:株式会社 山田養蜂場 http://www.3838.com/ 編集:ⓒリトルヘブン編集室
〒880-0804 宮崎県宮崎市宮田町10-22-203
ベジ料理研究家・小畑佳奈子の
「蜂蜜べっこうイチゴ飴」
「蜂蜜べっこうイチゴ飴」と金柑やトマト、日向夏ミカンの果物飴
|桜の開花が話題になっている頃だった。暖かい日射しが差し込む土曜日の昼下がり、楽しげなおやつ作りが始まろうとしていた。
|「今、ちょうど旬の果物があるじゃないですか。イチゴとか金柑とか。なので、縁日のりんご飴のちっちゃいバージョンを作ろうかなと思ってですね」
|小畑さんは、そう言いながらイチゴと金柑、完熟ミニトマトのヘタを取って軽く水洗いを始めた。
|「このイチゴは、宮崎市青島の近くで化学肥料を使わずに育ててるんです。有機肥料で作っているイチゴは小粒なんですけど、すごく甘いんです。味がしっかりしてるんですよね。それに宮崎の果物としては、日向夏ミカンも加えてみました」
|日向夏ミカンは皮を薄く剥き縦に6等分した後で、一口大の大きさに切り分けておく。
|「キッチンペーパーで軽く拭いて果物の水分を取ったら、一つ一つに爪楊枝を刺しておきますね。こうすると、りんご飴ミニミニバージョンになった気がするでしょ」
|果物の準備ができたら、いよいよ蜂蜜べっこう飴を作りに掛かる。
|「蜂蜜は50グラムです。これは、オレンジの蜂蜜なので香りが結構するんですよね。お砂糖はてんさい糖を使ってます。蜂蜜と同じ50グラム。これは、砂糖大根(てんさい)を原料にしたお砂糖なんですけど、やっぱり良い香りがしますよね。これに、お水をほんのちょっと加えます。入れすぎると固まらないでシロップみたいになっちゃうし、まったく入れないとお砂糖が溶けないで焦げちゃいますので。水は10ccですね。ほんのちょっとですよ」
|蜂蜜とてんさい糖、それに少しの水を加えた小ぶりの片手鍋を火に掛け、休みなく木ベラでかき回し続ける。
|「最初は硬いんですけど、温まってくると緩んできますので、砂糖の粒々がなくなるまで、かき回しながら温めます。しっかり火が通ると透明のべっこう色になってきますからね。なるべく弱火で、鍋を外したり乗せたりしながら様子みて、フツフツしてくると急にブワーッと噴きあがるので、鍋を持ち上げたりして、じっくり溶かすので時間がかかっちゃうんです。でも10分は掛からないと思いますよ。火を止めて泡が収まると、べっこうみたいに透明で、色のきれいな飴ができますよ」
|ほどなく柔らかな蜂蜜べっこう飴が完成した。目を離さず、手を休ませず、泡立つ鍋を持ち上げたり傾けたりと、細心の注意を払った蜂蜜べっこう飴だ。
|「ここまですると、もう、蜂蜜と飴が混ざったような、すごく甘ーい香りがしてきますね」
|小畑さんも満足そうだ。
|「あんまり飴が熱々だと、イチゴなんかは変色しちゃうので、ほんのちょっと粗熱を取る感じで冷やしてから、果物に絡めていきますね。蜂蜜って喉にすごく良いじゃないですか。殺菌効果も強いんで。でも、蜂蜜をそのまま舐めると口の中ですぐ無くなっちゃうけど、飴にすると持ちがいいので、喉がイガイガするなって時は良いのかなって思いますよね。爪楊枝を刺して、りんご飴みたいにすると、見た目が可愛いので、ちっちゃい子もペロペロ舐めてくれますよ」
|片手鍋を手前に傾け、鍋の縁から爪楊枝を刺した果物を回転させながら滑り込ませ、粗熱を取った蜂蜜べっこう飴を薄く絡めていく。
|「飴をあまり付けすぎると、ガチガチの硬い飴になってしまうので、なるべく薄ーく何回か失敗しながらやってみてください。飴の中の気泡もわざと消さずにやった方が、絡めた時に周りに空気が入ってキラキラしてきれいですよ」
|こんな説明をしながら小畑さんが、クッキングシートの上に蜂蜜べっこう飴を絡めたイチゴや金柑、トマト、日向夏みかんを並べていく。
|「クッキングシートは飴がくっつかないようにです。お皿に並べる時は、表面に油を薄く塗ると剥がれやすいですね。この飴は、気を付けないと歯の詰め物が取れやすいんですよね。子どもの頃、出店でりんご飴を買って貰ったのはいいけど、銀歯が取れて、翌日、歯医者さんというのがありましたね。後はもう固まるのを待つだけですね」
|ガラスの大皿に盛り付けると、色の鮮やかさが際立った。屋台のりんご飴をねだった子ども時代に戻って、蜂蜜べっこうイチゴ飴を一つ口に入れ、薄い飴の割れ目から広がったイチゴの味を楽しんでいると、上あごにくっつくように飴だけが口に残った。そのまま口の中で飴を溶かしていると、鼻の奥にフワッとオレンジ蜂蜜の香りが漂い、子どもの頃に遊んだ田園風景が脳裏に広がった。
■ 主な材料
蜂蜜 50グラム
てんさい糖 50グラム
水 10cc
季節の果物
イチゴ
金柑
ミニトマト
日向夏ミカン
小畑 佳奈子(おばた かなこ)
1975年生まれ。ベジ料理研究家・タイ古式マッサージ師。2011年、宮崎の気候、人柄、食べ物の美味しさに惚れ込み移住。天空カフェジールで働き始めた事をきっかけにマクロビオティックと出会う。アロマテラピーやタイ古式マッサージを学び、資格を取得。2013年アロマとタイ古式のサロンをオープン。2014年、調理師免許を取得し、料理講師として本格的に活動開始。2015年、ナチュラルライフセラピーRianとして、サロンをリニューアルオープン。
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① 素材となる果物を洗う
② 果物のヘタを取り、爪楊枝を刺しておく
③ 蜂蜜50gを鍋に入れる
④ てんさい糖50gを加える
⑤ 水を10cc加える
⑥ 火に掛けた後は、焦げないように混ぜ続ける
⑦ 泡立ち始めたら火から離すなどして焦げ付きに注意
⑧ 飴状になったら火を止め、粗熱を取って果物に絡める
⑨ 飴を絡めたらクッキングシートに並べて冷やす
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