2021年(令和3年4月) 52号

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3世代が一緒に暮らす幸せ

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 ここで、なぜ両親と一緒に農業をしようと思ったのか、雅彰さんの話を聞いてみよう。

 「高校の時は農業をするつもりはなかったんですけど、お父さんに『儲かるぞ』と言われて、やってみようと思いました。2年間は福岡県立農業大学校に通い、一緒に始めてから13年間。米以外を自分で管理するようになってから面白くなりました。売上げも上がってきているので面白いです。イチゴと養蜂の他に、7月末にはトルコギキョウの定植をしますし、米の稲刈りもするんです。4月10日からレンゲ蜜を採り始めて18日が1巡目の最後。これから先は、今年、花が早くなってきているので、どういうことになるか心配です」

 傍で話を聞いていた誠一さんが、花は心配ないという風に私に向かって説明する。

 「ここらの米はゲンキツクシという品種で6月15日に田植えなので、緑肥として5月15日にレンゲを鋤き込みするのがちょうど良いんですよ」

遠心分離機を担当している誠一さんも軽トラの上で蜜蓋を切る

 続いて、遥輝さんの気持ちを聞いた。

 「深く考えてなかったというのもあるけど、子どもの頃から農業が生活の一部やったけん、この仕事をしていくんやろうなと漠然と思っていました。(両親が)夜遅くまで仕事していたのを見てて大変そうとは思っていたけど、自分からどうしちゃろという強い気持ちはなかったかな」

 雅彰さんと同じように高校を卒業してから2年間は県立農業大学校で学び、家族と一緒に農業を始めて3年間が過ぎたところだ。

 2人の様子を見て誠一さんが目を細めている。「遥輝も雅彰と同じ道を歩んじょっですね。兄弟仲も良いですね。兄ちゃーんと言いよるですもん」

 雅彰さんは結婚して、すぐ近くに別の家庭を築いているが、遥輝さんは元気な祖父母と両親も一緒に一つ屋根の下に暮らしている。生まれ育った故郷で3世代が一緒に暮らすのは究極の幸せの姿なのだと思った。

 蜂蜜の基準糖度は78度以上とされているが、採蜜を終えてから、誠一さんがこの日採集したレンゲ蜜の糖度を測ると83度もあった。専業の養蜂家なら採蜜量を増やすため、もっと早いサイクルで採蜜するのだろうが、イチゴ栽培と兼業のファーム貞光独自の採蜜サイクルだからこそ糖度が高く品質の良い蜂蜜が採れるのだ。

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