2021年(令和3年4月) 52号

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ベトナムから技能実習生

 続いてハウスに姿を見せた誠一さんは、畝を跨ぐフレームの両側に自転車用の小さな車輪を取り付けた台車の上に、収穫したイチゴを入れる発泡スチロール箱を載せ、片側の椅子に腰掛けた。そして誰よりも先に収穫を開始した。

 「私は溶接ができるので(台車を)自分で作ったんですけど、腰掛けて(イチゴの)収穫ができて便利が良いですよ」

 間もなくするとハウスの外から「お早うございます」と明るい声が聞こえてきた。ベトナムから来ている農業技能実習生2人と近所の主婦徳永恵子(とくなが けいこ)さん(65)、それに寿美江さんの4人が出勤してきてハウスが活気づく。

 プチッとイチゴの細い茎を折る微かな音が聞こえる。ファーム貞光の全従業員7人でイチゴの収穫が始まったのだ。ベトナムから来ているグェン・ティ・フォンさん(26)とグェン・ティ・ティンさん(24)の2人がファーム貞光で働き始めて丸1年。

 「ここね、ほんとにみんな優しい。私とお父さん(誠一さん)、先月(夫もベトナムから来て働いている)久留米に行きました」と、フォンさんが嬉しそうだ。フォンさんとティンさんは自炊だと言う。「私たちは野菜色々植えています。お米はお父さんからもらって、肉だけ買います」。実習期間の3年間(2年間の延長もある)を倹しく工夫して過ごす覚悟が伝わってくる。

 5月中旬まで続くイチゴの収穫。「多い時は1日2000パック出荷しますから、他の仕事が進まんとですよ。蜂も行かないけんとですけど。3月第1日曜を休んでから、昨日が初めての休日でした」と、誠一さん。

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