国鉄を解雇され組合運動13年
レンゲ蜜の採蜜を終え、誠一さんが味を確かめるように蜜を舐めてみる
何度も挫折はしたが、思い付きから出発した養蜂は、2人の息子が一緒に農業を担ってくれてイチゴと両立させることができている。
「息子が2人とも百姓するとは思いもせんでですね。そりゃ嬉しかったですけどね。実は、私も38歳で百姓を始めたんですよ。それまでは国鉄の貨物車掌区におってですね。貨物ターミナルに行ってブレーキ検査をして、エアを抜くとブレーキが掛かるんですけど、それが正常に動くかチェックして、無線がきちんと通じるかをチェックして、運転手に何両連結しているかを連絡するんです。車掌は国鉄のパイオニアと言われよったですけど、入って5年経ったら首になりましたから。20歳で国鉄に入って26歳で分割民営化ですからね。航路表に従って分単位で動くというのはもうできないですよ。もうやりとうない」
イチゴの箱詰めがひと区切りついた午後、ファーム貞光の全従業員が集合写真
26歳の時に国鉄を解雇された誠一さんは、その後3年間、国鉄清算事業団で働き、さらに10年間、地方労働委員会闘争を続けた。
「和解まで清算事業団におって組合運動をやりよったお陰で腹が据わって、人との付き合い方を分かってから百姓を始めたので、おばちゃんたちが働いてくれているからファーム貞光が成り立っているという感謝の気持ちは本心ありますね。組合活動の経験は良かったです」
払った蜂が、どうした訳か巣箱に入らないで巣箱の外に集る
山田養蜂場の調達社員へ渡すため、遠心分離機で搾ったばかりのレンゲ蜜をサンプルとして採る
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