2021年(令和3年6月) 53号

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趣味はクラッシックなオープンカー

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 住夫さんは私が取材をさせてもらった3日間、少しの時間があれば人工王台を入れた保温バッグを持って養蜂場へ行っていた。現実に住夫さんがやっている作業の意味を私が理解できていた訳ではないが、農業の世界では「主人の足跡が肥やし」と言う言葉があるように、養蜂の世界でも同じことが言えるのだと思う。「未交尾分封と言って、自然王台で知らないうちに生まれた新女王はまだ翅切っていなくて飛べるので、仲間を連れてどっか行っちゃうんですよ。これは痛い」。他にも「新女王が交尾に巣箱を出て、巣箱を間違えて帰って来ると殺されてしまい、そこから改めて新王の誕生を待っていると20日間の空白が出来てしまいますよね。その間は卵を産んでいない期間になるので、1日1500個の卵が消えているとすると、本来いるはずの30000匹の蜜蜂が居なくなっているのと同じなんです」。そんな養蜂家にとってあってはならない現象を防ぐためにも足繁く蜂場に通っているのだ。

 しかし、住夫さんが仕事の虫かと言えば、それはまったく違う。他業種を含む全国を股に掛けた広い交友関係を保ちながら趣味はバイクと車だと言う。バイクはカワサキZ2・750ccとCT125・ハンターカブ。一方、車は黄色のワーゲンバスでナンバーは当然のように「・・38」(ミツバチ)だ。そして何より極めつけは、マルタン・スーパー7。日本に数台しかないクラッシックなスポーツタイプのオープンカーだ。

 自然を愛し仕事をするが、人生も楽しむ。そんな人生哲学が垣間見える養蜂家の存在は、これから養蜂家を目指そうとする若い世代への憧れとなることだろう。その最も身近な存在が長男の翔太さんであることは間違いないようだ。

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