夕食後に皆で温泉に行く。そこで貴一さんから聞いた「代表は蜂蜜を目にも塗ってますよ」を目撃し、私も実体験することになった。

　明るさがまだ残っている空を見上げて私が露天風呂に浸かっていると、輝信さんが絞り出し容器に入った蜂蜜を持って来て、手招きをする。

　「これをな、頭から顔にたっぷり塗って、目にも入れて、マッサージしてから洗い流してな」と、私の右手にたっぷりの蜂蜜を絞り出した。言われたまま、頭から顔にベトベトに塗り、続いて恐る恐る目の中にもそっと塗ってみた。痛いというのではないが、チリチリする。ほんとに目に入れても良いのかと、少し不安になる。何も見えない。手探りで蜂蜜を洗い流した後は、思っていた以上にサッパリとして快適だ。ふっと気付くと、もう一人露天風呂にいた見知らぬ男性も、輝信さんから蜂蜜を貰い頭から顔からをベトベトにしている。「驚いたでしょう」と声を掛けると、「あのおじさんから何度も蜂蜜もらっとるから」と、すでに蜂蜜ローションに慣れた様子だ。輝信さんの周りに様々な人が集まってくる人付き合いの極意を見たように思えた。