2021年(令和3年7月) 54号

発行所:株式会社 山田養蜂場  https://www.3838.com/    編集:ⓒリトルヘブン編集室

〒880-0804 宮崎県宮崎市宮田町8-7赤レンガ館2F

6

ブドウはすぐ売らなければならないが

蜂蜜はずっと置いておける

 研究所に到着すると、すでに大テーブルには岸田繁義(きしだ しげよし)さん(73)が座っている。

 「(養蜂を)始めた頃は3箱か4箱を行ったり来たりしよったのが、2011(平23)年10月1日に影山さんを初めて訪ねて来て、ご指導してもろうて、今では蜂蜜を売ることができるようになりましたけんね。その数年前には岐阜県の養蜂用具を売る会社へ勉強に行ったこともありましたけどね」

 岸田さんの話を聞いているところに、井本恭輔(いもと きょうすけ)さん(38)と加奈子(かなこ)さん(36)夫妻が顔を出した。養蜂の主体は加奈子さんのようだ。

 「出身は愛知県なんですけど、大学は山形大学工学部なんです。受験勉強している時は化学がすごく面白くて、卒業後就職したのは化学関連の会社だったんですけど、その後、違うなと思い始めて転職先を探している時に、阿波市の移住フェアで話を聞く機会があったんですね。そこでブドウ栽培の研修と養蜂の研修があって、最初はブドウに関心があったんですが、影山さんの話を聞いているうちに蜂に関心が出てきて、ブドウはすぐに売らなければならないけど、蜂蜜はずっと置いておけるじゃないですか。蜂という生物を育てることにも関心が出てきて、蜂が可愛いと思えるようになって、最近は生き物を飼うことに興味が出てきました。2018(平30)年4月から今年3月までは、地域おこし協力隊の研修だったんですけど、4月からは独立して養蜂家になったんです。今年、50群から100群に分けたところなんです。まだ、小さい群なんですけど」

 移住フェアで輝信さんと出会わなかったなら、加奈子さんの人生はまったく違った道を歩いていたかも知れないのだ。輝信さんが持っている人を引き寄せる力の強さに驚くばかりだ。

1
2
3
4
5
6

▶この記事に関するご意見ご感想をお聞かせ下さい

Supported by 山田養蜂場

 

Photography& Copyright:Akutagawa Jin

Design:Hagiwara Hironori

Proofreading:Hashiguchi Junichi

WebDesign:Pawanavi