2021年(令和3年7月) 54号

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忙しい、こんな筈じゃなかった

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 昼食の後は、いつもの大きなテーブルに集ってコーヒーを戴き、お菓子を戴き、ブドウが出て、リポビタンDが出てくる。世話をするのは佐紀子さんだ。

 「勤めを定年退職したら、呑気にできるんか思いよったんですけど。それがほんまに忙しい。定年後3年ぐらいは常務で勤めておったですけど、養蜂研究所を始めて14年ぐらいになりますけど、ますます忙しいになって、こんな筈じゃなかったんですけどね」

 忙しいはずである。ひっきりなしに訪ねてくる養蜂家仲間の接待はもちろん、蜂蜜を買いに来てくれる客の対応も蜂蜜の瓶詰め作業も、「はちみつ工房」の作業を一手に引き受けているのだ。それに家の仕事も当然のようにしなければならない。佐紀子さんの働きがなければ影山養蜂研究所は機能しなくなるのではと思われる働きぶりだ。それも常に笑顔なのだ。

 「うちのお母さん(佐紀子さん)も一緒に農協で働きよったんでね。若い時は体が弱かったんで、私が支えてやらないかんという気持ちもあって、結婚したんやけど。今では気持ちのええ嫁さんで、良い嫁さんもろたなと喜んでおります。笑われるけどね」と、輝信さんは照れながらも感謝の気持ちを言葉にする。

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