2015年(平成27年7月)6号
発行所:株式会社 山田養蜂場 http://www.3838.com/ 編集:ⓒリトルヘブン編集室
〒880-0804 宮崎県宮崎市宮田町10-22-203
イタリア料理シェフ桑原研郎の
ハニーバルサミコソース
宮崎牛ヒレステーキ
焼きリゾット添え
甘酸っぱいハニーバルサミコソースによってイタリアンの複雑さが加わった宮崎牛ヒレステーキ
|家族の特別な記念日にメインディッシュとして作ってみてはどうだろうか。宴は、盛り上がること間違いなしだ。だからといって、難しい料理ではない。ちょっとしたタイミングがコツと言えば、コツなのである。
|「バルサミコって、ブドウを醸造させて酢を作るんですけど、樽の中で熟成期間が長ければ長いほど、酸味が後退して甘みが増すんですよ。そこまで熟成させたバルサミコは高価ですから、それをハチミツを使って自分で作ってしまおうというのが、今日のソースです」
|桑原さんは、小さな手鍋にバルサミコをドボドボッと注ぎ、それにハチミツを大さじ1杯ほど加えてかき混ぜる。手慣れた職人というのは、こういうものかと思うほどに1つ1つの動作が手早い。ガス台の中央バーナーだけを強火にして、手鍋を前後に動かし続ける。時折傾けて中のソースの煮詰まり具合を確認する。見ている間に手鍋の縁が泡立ち、グツグツと煮立ち始めた。焦げ付かさないように細心の注意を払いながら、鍋を傾け前後に動かし続ける。
|「いつもは作り置きしてるんですけど、今日は一皿分だけ作りますね。これをトロッとするぐらいまで煮詰めます」
|鍋の底はすでに大きく泡立っているが、とろみはまだない。と、思った瞬間、桑原さんは手鍋を火から下ろした。「これが冷めたら、もうちょっとトロッとしてきますから」。なるほど納得。そこの見極めがコツのようだ。熱々のままを小さな壺に入れてソースの完成だ。
|「あとはリゾット焼いて、肉焼くだけです。簡単過ぎますね」と、シェフ桑原さんは恐縮しているようだが、料理は、手早く美味しくできるに越したことはない。形を整えて冷凍してあったリゾットを電子レンジで1分。半解凍してフライパンで焼くのだが、その前にリゾットの作り方を教えてもらった。
|「1リットルの水にコンソメを3個、それにサフラン2〜3枚を入れてコンソメスープを作っておきます。一方で、フライパンを使ってニンニクとオリーブオイルで生米を炒め、先に作ったコンソメスープをお玉で少しずつ注ぎ足しながら炊いていって、米の芯がなくなったら出来上がりです」
|たっぷりのオリーブオイルを熱々にしたフライパンに、半解凍したリゾットを滑らし込ませると、バチバチバチッと油の爆ぜる音が厨房に響いた。
|「両面に焦げ目が付くまで焼きますね。焦げ目が美味しいから。焼きおにぎりの焦げと同じですよ。リゾットの形を崩しちゃうとベチャベチャになりますから注意してください。表面はカリッと中はふっくらというのが理想ですよ。いい色になってきました」
|リゾットをフライパンから取り出すと、ニンニクを薄切りにして、リゾットを焼いた後の同じ油でニンニクチップを作る。桑原さんは、フライパンを絶え間なく前後に動かし続け、ニンニクの焦げ色を確認している。料理1つ1つのコツが、ガス台から引き上げるタイミングなのだと分かる。
|「食感の組み合わせって大事な要素なんですよね。リゾットもカリカリ、ニンニクチップもカリカリで、トロッとしたステーキ。カリッとトロッとが食欲を沸き立たせるというか、美味しいですよね」
|いよいよ、メインのステーキ作りに取りかかった。グリルパンを充分に温めておいて、宮崎牛のヒレステーキ肉を載せる。塩コショウをした70グラムほどの小ぶりなものだ。
|「肉の表面にじわっと肉汁が滲んでくるタイミング。これを合図にひっくり返してもう片面を焼きます」
|盛り付けは経験とセンスである。温められた真っ白い洋皿にステーキ、リゾット、それにサラダを並べた後で、今回のはちみつ料理のテーマとなったハニーバルサミコソースをステーキに沿わせるように垂らして完成だ。
|貧乏性のせいなのかステーキをいただく時には、少しの緊張がある。ヒレステーキなので脂っぽさはなく、淡泊だけど深みもある味だ。宮崎牛だけに柔らかく充分な旨みはあるが、ハニーバルサミコソースが加わることで、イタリアンらしい甘酸っぱい複雑な味となった。「飲み物は何が良いかな」と桑原さんに尋ねると、「夏だしビールですよね」と即答した。そうだ、かしこまって食べるステーキよりも、ビールでワイワイとやる楽しいステーキにこのソースは向いているようだ。
■ 主な材料
バルサミコ 大さじ3杯ほど
ハチミツ 大さじ1杯ほど
ヒレステーキ肉 70グラム
ニンニク 1かけ
リゾットは本文を参照
サラダ
(トマト・モッツァレラチーズ・バジル)
桑原 研郎(くわはら けんろう)
1976年生まれ。2003年に宮崎市で開業した「ボンターブル」のオーナーシェフ。イタリア料理を中心に、欧州料理を書籍や食べ歩きをして独学で学ぶ。「県産野菜のバーニャカウダ(北イタリア料理・暖かいソースの意)」が、宮崎市健康増進課の「伝えたい健やかなおとなメニュー」に選定。地産地消にこだわり、安心で健康な料理を作ることを目指している。
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① 手鍋に大さじ3杯ほどの
バルサミコを注ぐ
②バルサミコに大さじ1杯ほどの蜂蜜を
加え混ぜ合わせる
③ 手鍋を動かし焦げ付きに注意しながら
煮詰める
④ 半解凍したリゾットをオリーブ
オイルで焦げ目が付くまで焼く
⑤ リゾットを焼いた後のオイルで
ニンニクチップを作る
⑥ グリルパンでヒレステーキ肉を焼く。
肉汁が滲み出たタイミングで返す
⑦トマトとモッツァレラチーズの
サラダにもハチミツを
⑧ 盛り付けの最後に、先に作っておいた
ハニーバルサミコソースを沿わせる
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