2025年(令和7年12月) . 88号
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うどん粉病に効くのでダニにも効く
大里蜂場へ行くと求さんが内検を終えて帰るところだった
そんな失敗話談を聞いていると、深い森に沿った鬱蒼とした小径に車が入った。ガタガタと少し走ると、「ここらは拝所(うがんじゅ)が多くて、ここの大木の根元にも祀ってあるんですよ」と、勉さんが車を停めて森の方へ歩いて行く。後を追いかけるとすぐにガジュマルの巨木が見えた。周りにはクワズイモの大きな葉がゆるやかに揺れている。根元に小さな洞があって、その洞の中に神様が祀ってあるのだという。この拝所の向かい側にもクワズイモの大きな葉が揺れていて、勉さんが「ここから奥がうちの土地です」と教えてくれた。再び車に乗って20メートルほど進むと、少し広くなった場所に軽トラックが一台駐車してある。
「あれっ、求(もとむ)が来ているのかな」と、勉さんが独り言を呟いている。勉さんの後を追ってクワズイモの葉を掻き分けるように奥に進むと、ちょうど内検を終えて帰ろうとしている二男の求さん(39)と出っくわした。勉さんと求さん、お互いに驚いている様子だ。
求さんが一旦終えた内検を撮影のために始めてくれた
私は勉さんに追いつけず少し離れた場所に居たため話の内容は分からないが、勉さんから求さんに取材について何か伝えてもらったようだ。帰り仕度をしていた求さんが、残していた巣箱の内検を急遽してくれることになった。
「ここにはカボチャ交配用の蜂を30群ほど置いています」と、説明をしながら巣箱から取りだした巣板に何かの液体を噴霧している。
「〈えひめAI(エーアイ)〉という愛媛県の産業技術研究所が開発した微生物資材で、野菜に付くうどん粉病に効くのでダニにも効くのではないかと使っているんです。ヨーグルトと納豆菌、ドライイースト、グラニュー糖で作れるんです。環境浄化にも役立つと言われていますので、蜜蜂の活力にもなるんじゃないですかね。〈えひめAI〉のお陰でダニの駆除剤を使わなくて済むようになりました。採蜜群のダニ処理は難しいですよね。以前には、蜂場によってはどうしたら良いのか分からないほどになってしまった時期もあったけど、〈えひめAI〉を噴霧するようになったら、そんな状態にはならなくなったですね。専門家の先生の中には〈えひめAI〉の効果について評価していない方もおられるようだけど、活性化するというか実感として蜂の状態は良くなりますよ。もうダニ駆除剤のアピスタンなどは使っていません。巣板はもちろん、巣箱にも噴霧しています」
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