2025年(令和7年12月) . 88号
発行所:株式会社 山田養蜂場 https://www.3838.com/ 編集:ⓒリトルヘブン編集室
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スマート養蜂WKGと呼ぶ
新垣養蜂園近くの高台から那覇市街地を望む。敗戦から80年、瓦礫の街から大都会に復興した
思考的には自然志向というのか、大きな意味ではダニと共生する考え方に近いのかも知れない。先の計器類は見知らぬ男性たちと関係があるようで、伝さんから紹介してもらうことになった。受け取った名刺にdocomo Business事業推進部SDGs推進室とある。「ICT技術チームの社会活動なんです」と、自己紹介される。私にはICTが何なのか、理解できない。戸惑っていると、伝さんが助け船を出してくれた。
「巣箱に仕掛けた計器から送られてきたデータを見て、仮説を立てて確認することで未来を予測できる訳です。一日の巣箱の重量の変化を測定して、それによって蜂の動きが予測できるので、毎日巣箱に行かなくても蜂の管理ができる、そんな仕組みを作ろうとしているんですね。昨年の2月に初めての打合せをして、実際やり始めたのは2か月前。まだ名前のないプロジェクトなんです。強いて言えばスマート養蜂WKG(ワーキング)と呼ぶんでしょうね」
目指す方向は朧気ながら伝わってきた。
後日、ICTなる言葉をAIに調べてもらうと、Information and Communication Technologyは情報通信技術の略で、デジタル情報を収集、処理、伝達、共有するための技術や仕組みの総称とある。超スマート社会を実現するために必要な基盤技術の一つなのだそうだ。
伝さんは、二男の求さんが養蜂業を継ぐ意志表示を早々としていたこともあって、自らは大学時代に教員になることを選択して小学校教員免許と介護福祉士の資格を取得している。大学卒業後は福祉施設に就職して働いていたが、27歳の時に転機が訪れる。初代の祖父が寝たきりとなり2代目の勉さんの体力も衰えたことで沖縄に戻る決心をしたのだ。
「養蜂をただ受け継いだだけでなく、自分らしい仕事をしたいと思っていたので、小学校教員免許を活かした小学校での養蜂教室や今日のような市民講座での町おこしをやっているんですけど、今回のプロジェクトにも新しい養蜂の可能性が見えてくるのではないかと期待しているんですよね」
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