2026年(令和8年1月) .  89号

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農福連携はお金でないプラスがある

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 工場団地蜂場を離れて髙橋さんが向かったのは、豊栄福祉交流センター「クローバー」の作業場だ。ここでは農福連携による作業協力の取り組みとして、阿賀野市ふるさと納税の返礼品の米を出荷するために梱包を依頼している。「農福連携の作業協力がなければ、うちの仕事は回らないほど頼りにしていますよ」と髙橋さんが言っていたが、まさに共存共栄の関係なのだ。豊栄福祉交流センター「クローバー」で梱包してもらったふるさと納税返礼品の米を受け取った髙橋さんが、運送会社へ運び込めば終了なのだ。この後、別の福祉作業所の阿賀野市さくらの会作業所には梱包してもらう米が足りなくなったからと、倉庫に預けてあった米を一俵持ち込んだ。その際「阿賀野市さくらの会作業所」の管理者を務める石塚貴之(いしづか たかゆき)さん(51)は「地域にこんな素晴らしい農産物があって、その仕事に携わらせてもらっていることが、私たちのモチベーションにもなっています。その意味でお金だけでないプラスの部分がありますね」と、農福連携による作業協力の意義を強調していた。

 「阿賀野市さくらの会作業所」を出ると、陽は傾き夕暮れが間近であった。

 「今日の天気は、ほんと儲けもんでしたね。こんなに良くなるとは思わなかったから……」と、髙橋さんが呟く。蜂場が雪に埋もれると分かっていて、取材を引き受けたことを後悔しないで済んだと、安堵の気持ちのようだ。そして続けた「(八米を)10年続けることができて、それは良かったですね。ちゃんと形になっていますね」。第三者的な言い方に、少し驚く。恐らく、私には語らなかった、語れなかった数々の辛い思い出が、この10年間にあったのだろう。その語れなかった辛い経験を差し引いても、続けていて良かったと思える冷静な分析が伝わってきた。

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