2026年(令和8年9月) .  91号

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この女王フェロモンが弱いな

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 蜂数が少なくなってしまった巣箱の蓋を開けながら「まだ居るな、王が居るかも知れない……。あ、居た居た。この女王はちょっとフェロモンが弱いな」。傍でカメラを構えていた私に向かって千葉県袖ケ浦市の坊ノ内養蜂園を経営する鈴木 一(すずき はじめ)さん(56)が話し掛ける。「蜂数が少ないのは、夏の暑さで産卵が止まった可能性が高いですね。それと、そんなには遺伝的に異なる沢山の雄と交尾していないんでしょうね。異父姉妹が増えていないということは、近親交配になっていると言うことなんですよね」。

 鈴木さんは少々気落ちしている様子だ。蜜蜂に近親交配が進むことで、遺伝子が一致(ホモ接合)すると、本来は雌蜂(働き蜂)になる受精卵が二倍体雄になって生まれる。この二倍体雄は、幼虫の段階で働き蜂に食べられてしまうため、群の労働力(雌蜂)が減少してしまうのだ。

 鈴木 一さんが8年前からアドバイザーを務める千葉県習志野市秋津の谷津干潟(やつひがた)自然観察センター内の林に置かれた巣箱を内検している時である。

 東京湾岸の90%が埋め立てられたことによって干潟はほとんどなくなったが、谷津干潟はラムサール条約登録湿地で約40ヘクタールの湿原が残してあり、周りは住宅地や道路に囲まれていながら2本の水路によって東京湾と繋がっている。習志野市谷津干潟自然観察センターでは、①蜂蜜を採集すること、及び②蜜蜂を仲介して人と自然の繋がりを学ぶことを目的として、2018年に環境学習プログラム「はち育®」として養蜂を始めた。鈴木さんによる技術指導の下で広報担当の小山文子(おやま ふみこ)さん(62)が巣箱の日常管理をしている。

 「小山さんがやる気があるので、僕もやりがいを感じていて、素晴らしいプロジェクトだと思っています。これからは蜜源になる樹木を地域にもっと植えるなど、蜜蜂と地域との繋がりを深めていきたいですよね」と言う鈴木さんは、「はち育®」プロジェクトを地域と繋げることによって蜜蜂が生きやすい環境を整えたいと考えているのだ。

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