2026年(令和8年9月) . 91号
発行所:株式会社 山田養蜂場 https://www.3838.com/ 編集:ⓒリトルヘブン編集室
〒880-0804 宮崎県宮崎市宮田町8-7赤レンガ館2F
巣門前の草は手で抜け
真剣な目で女王蜂を見付けようとする鈴木さん
鈴木さんは、東京都内の大学を卒業した後、外資系損害保険会社に就職して当然のように経済的な豊かさを求めて働き、海外での勤務もこなした。しかし、人生に行き詰まりを感じ始めた時に蜜蜂と出会い、2年後の東日本大震災を機に所有と消費に依存しない自給的生活の模索を始めることになる。
「サラリーマン人生の先が見えたということですかね。自分はこの会社で部長にはなれないなと思うようになってしまって、特に外資系の会社だったので、語学ができないとだめ。ゴールが見えちゃうと消化試合みたいに毎日の生活に熱が入らない。そんな時期に偶然、我が家の近所を散歩している時、養蜂をされている方と出会ったんです。その時は立ち話だけだったんですが、その後で、河野さんとおっしゃる、その養蜂家さんが『自分が採った蜂蜜だから』とわざわざ我が家まで持って来てくださって、その蜂蜜の美味しさに驚き、養蜂世界の話を聞かせてもらったことが『こんな仕事があるのか』と転機になりましたね。地味な仕事をやっていくことの大切さに惹かれたというんですかね。河野さんは後に私の養蜂の師匠になるんですけど、師匠の言っていた『巣門前の草は手で抜け。そうすれば巣箱の中の蜂が分かるから』という言葉は、今でも僕のテーマになっています。日々、自分自身の弱さと向き合っていることを蜜蜂から教えられていますね」
内検する鈴木さんを小山さんが燻煙器で補佐する
「会社を辞めたのは、それから2年後、東日本大震災を経験してからです。実際、会社に辞表を出した時には誰にも相談しませんでした。もちろん妻にも事後報告ですよ。反対されるに決まっていますから。子どもは2歳にもなってなかったし、家も建てたばかり、清水の舞台から飛び降りるといった感じですよ。でも、今も後悔はしていません。自由を取るか安定を取るかの選択でしたからね」
Supported by 山田養蜂場
Photography& Copyright:Akutagawa Jin
Design:Hagiwara Hironori
Proofreading:Hashiguchi Junichi
WebDesign:Pawanavi