2021年(令和3年6月) 53号

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料理の手順

 「今日の料理のポイントは、もちろんビーガンですけどシュガーフリーということですね。今、ビーガンって流行っていますよね。70年代にジョン・レノンなどが言い始めていましたからね。30年以上前ですよ、根付いてくれると良いですよね」

 試作品として事前に作っておいた今回の料理「チアシードのプディング」を試食しながら、「これ、めっちゃ美味しい。めっちゃ元気になる。しかもブルーベリーだし」と、あさみさんが試作品を食べて感激の様子だ。実は、今回の料理をあさみさんに依頼したのは前日だった。蜂蜜を使う料理レシピを常に準備している料理家は少なく、依頼されてから考え試作して本番に臨んでいるのだが、今回は前夜から何種類かのレシピを考えてくれた結果、時間がなくて試作が直前になったようだ。

 「今日は機械を一切使わないスイーツです。作っていきなり器に入れていきますよ」と、あさみさんが琉球グラス3個を準備した後、缶入りのココナッツクリーム210gを量ってボールに移す。

 「これはココナッツミルクでも結構です。次に、ホワイトチアシード150gを量ります。チアシードが生っているところを見たことはないんですけど、シソ科植物の種なんですよね。必須アミノ酸やカルシウムやマグネシウム、ビタミンAやBなど栄養素が豊富なのと食物繊維を多く含んでいて、スーパーフードとして優れものですよね。これをココナッツクリームに混ぜてから、カレンツですね。山ブドウの干したのだから自然からの贈りものなんです。これを大さじ1杯加えます。そこに蜂蜜を大さじ2杯を入れます。これは甘みなので量は好き好きですね。材料全体が馴染むように軽く混ぜておきますね」

ここまでボールに一気に入れると、縁ギリギリまで材料が増えてしまった。それで大きめの器に材料を移し替えて、泡立て機でゆっくりと丁寧に混ぜていく。

 「めっちゃ良い香りですね」と、あさみさん。材料を混ぜ終わると、先ほど準備した琉球グラスに3等分した上に、輪切りにしたバナナ1本分を3個のグラスに分けて入れる。「冷凍したバナナだとチアシードが早く固まって良いんですけどね……」と言いながら、「これを冷凍庫に10分ほど入れます」と、冷凍庫へ。「室温に置いていてもチアシードが水分に反応してとろみが出て固まるんですよ。でも、それでは室温が高いから時間が掛かるので……」と、チアシードの成分表を見ていたあさみさんが「カルシウムが牛乳の6倍もあるみたいですね」と驚いている。

 混ぜた材料を冷凍庫で冷やしている間に、プディングの上に載せるカカオクリームを作る。

「集めていたから色々あるんですよ」と、あさみさんが直径20㎝ほどのすり鉢を厨房の奥から持ち出してきた。「木綿豆腐を150g。軽く水切りしてあるんですけど……、手でギューッと潰しても良いくらいですけど、すり鉢で潰します。滑らかにしなくても食感を楽しめると思いますよ。豆腐が潰れたら、そこにカカオパウダー大さじ1杯を加えます。豆腐にカカオかと思われるかも知れませんが、おやつですから。食欲のない時の軽い朝食にもなりますね。ここにココナッツオイルを大さじ1杯加えます。癖がないから蒸し暑い夏には良いと思います。さらにアボガドオイル大さじ1杯を加えて混ぜますね。ここで又、蜂蜜を大さじ3杯入れます。甘いのが好きな方はもっと多くても構いませんよ」

 すり鉢に入れたカカオクリームの材料を擦り粉木(すりこぎ)で潰していたあさみさんが、「プーンと甘い香りがしてきましたね。すり鉢の良いところは熱を出さないので香りが活きますよね」と、電動調理器具にはない良さを教えてくれる。

 カカオクリームとは別に、カシューナッツとアーモンドを強化ガラスの器に入れて、擦り粉木で押し潰しておいてから、先ほど冷凍庫で冷やしておいたチアシードのプディングを取り出し、すり鉢で潰したカカオクリームを3等分して上に載せていく。「ここにブルーベリーを好きなだけ入れてください。そして、先ほどクラッシュしておいたアーモンドとカシューナッツを載せて、ペカンナッツを飾ります。最後に、これは好き好きなんですけど、ナツメグを振り掛けますね」。これで琉球グラスに盛り付けた「チアシードのプディング」の完成だ。

 飾りとして載せたブルーベリーやナッツ類、それにカカオクリームの下になっているチアシードのプディングをスプーンでたっぷり掬い取って口に運ぶ。何なのか、粉のような香りが漂う。チアシードのプチプチとした食感を楽しんでいるうちにプディングが口の中から消えていく。優しい甘さが残っている。粉のような香りは木綿豆腐なのかも知れない。プチプチとした食感が次のプディングを促して、気付いたらちょっとした満腹感がある。確かにグラス一杯の「チアシードのプディング」で朝食として充分なボリュウームがありそうだ。どこか東南アジアの雰囲気が漂うプディングに誘われて、自由を求めて旅したバリ島の木陰を思い出していた。

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