花外蜜腺と甘露蜜
午前6時30分に集合して採蜜の蜂場へ、翔太さんは少し眠そうだ
社員を率いて販売を担当している妻の裕子さん(57)が「1年のうち400日くらい蜂のことばかりを考えているような人」と表現する住夫さんが不思議なことを言い始めた。
朝日が射し込む日守蜂場で、住夫さんが取り出した蜜巣板を
慎平さんが運ぶ
「花外蜜腺って知っていますか。花が終わった後で新芽が出るんですけど、それを守らせるためにアリを引き寄せる蜜で……、サクラやソラマメが備えている植物が自衛のために出す蜜なんですけどね。その他に、日本では小笠原島でしか採れないんですけど甘露蜜という蜜もありますよ。ヨーロッパやニュージーランドでも採れる蜂蜜だけど、花蜜ではなくカシやマツ、モミなどの樹木から出る樹液をカイガラムシなどの昆虫が体内に取り入れた後、糖分だけを元の樹木に水滴の形で残した樹液を蜜蜂が採って巣房に溜めた蜜で、花蜜の蜂蜜より甘みが強くミネラルやフラボノイド(ビタミン様物質)が豊富なのが特長の蜂蜜なんです。いえ、うちでは販売していませんよ。勉強、勉強ですよ」
日守蜂場で遠心分離機に蜜巣板をセットする翔太さん(左)
と慎平さん(中)と住夫さん
春日養蜂場の大きな倉庫には予備の巣箱が積み上げてあった
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