蓋が磁石になったように蜂が
付いてくる
谷島蜂場で分封していた蜜蜂群を巣箱へ戻そうと輝信さんが群の下から蓋を添える
谷島蜂場に到着すると、誰もが面布を着けるだけなので準備が早い。それぞれが担当している巣箱があるかのように内検が始まった。山本技術部長が主に井本夫妻を指導する形だが、岸田さんと松田さんも一緒に内検をしている。
巣門の前で団子になっている蜂群を山本技術部長が見付けた。「これ、女王がやられとるんじゃないか」と指で蜂球を解いていくと、生まれたばかりの女王蜂が働き蜂に噛みつかれた状態で見つかった。山本技術部部長が新王を救い出して王籠に保護する。この新女王蜂は、女王の存在を確認できなかった別の群の巣箱に籠のまま2、3日入れて、その群が受け入れることが確認できた後に籠から出してやることになる。
研究所で養蜂を勉強するメンバーが揃い、貴一さん(左から2人目)を先頭に谷島蜂場へ出発の準備をする
輝信さんはどこに居るのかと辺りを見回すと、蜂場外れの茂みの中で独り分封した一群がセンダンの枝に群れているのを巣箱に取り込もうとしていた。枝からぶら下がるように連なる蜂群の下から巣箱の蓋を添えると、蜂が蓋に寄り付いてくる。まるで蓋が磁石になったようだ。蓋に付いた蜂を巣箱に入れ、再び、枝に群れている蜂の下から蓋を添え、残りの蜂を取り込んで巣箱に移す。枝に付いた蜂が少なくなったところで枝を振るうと、蜂は一旦無秩序に一面に飛び交うが、やがて、すでに巣箱にいる同じ群に収まるように戻っていった。
谷島蜂場で内検の際、巣門の前で痛めつけられていた女王蜂を
保護して王籠に入れる
貴一さんはと見ると、彼も同じように分封した群を巣箱に取り込もうとしている。ラグビーボールのような形で細い枝に群れている蜂群の周りの細かい枝を切り、一気に巣箱に払い落とそうとしているようだ。分封した蜂群が集る枝を、ゆっくり慎重に巣箱の真上まで移動させ、ユサッと細い枝を振るうとザッザッザーッと音を立ててほとんどの蜜蜂が巣箱の中に落ちていった。
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