ダニ対策はマラソン
遠心分離器をトラックから降ろし、一斗缶を並べ採蜜の準備をする
その翌週は、浦河郡浦河町へオオハンゴンソウの蜜を狙って巣箱を運ぶ予定である。
「浦河町は馬の生産地なんです。そこに両親が住んでいるんですけどね。越冬用の蜜を採るのが目的です。平成30(2018)年9月6日に発生した震度7の地震(北海道胆振東部地震)には、巣箱を置いていた裏山が崩れて、大ごとしたんですよ。10月末近くになると巣箱を一カ所に集めて移動の準備をします。採蜜が終わると単箱に詰めて密集させるんです。
巣箱から蜜巣板を取り出す太史さん
移動は単箱です。ダニ剤の使い方をきちんと守るのも大事ですよね。11月1日には、巣箱の1部を岐阜に運んで、蜂児が切れてから11月末までには全ての巣箱を運び終えますね。養蜂家の1番の壁ってダニですよね。最初の頃は、こんなんじゃ採蜜群できないと思いましたもんね。ダニ対策はマラソンみたいなものです、根性です。この仕事をどんだけ好きかということですよね。蜂と共に動いて蜂と共に寝るという感じです。
糖度が思ったほど高くないと聞いて、元矢さんがもう一度糖度計で確認する
問題は、蜂場を手に入れることが出来るかどうかが1番かな。僕らが他の養蜂家さんより長けていると言えるのは品質、糖度へのこだわりですかね」
話をしている途中で突然、太史さんが何かに反応してトラックの運転席へ向かった。バドミントンラケットを取りに行ったのだ。その後になって初めて私には、スズメバチ(アカバチ)の羽音が聞こえてきた。
クローバーの採蜜を中断し、元矢さんが少々落胆の様子を見せる
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