2021年(令和3年9月) 56号

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 愛着の故郷が衰退

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 「すごい豪雪地帯なんですよ。地元の人には、『たまには岩手で冬を越してみたら』と言われますけど、冬は千葉で蜂を越冬させているので……。春から秋までは良いんですよ、ここは。季節がはっきりしているんで、魅力的ですよ」

 高校を卒業するまでを過ごした故郷、岩手県和賀郡西和賀町で7年前から養蜂を始めた巣鴨養蜂園の髙橋正利(たかはし まさとし)さん(64)が、豪雪の冬季には、妻や娘、孫たちが暮らす東京で過ごしていることを、少々後ろめたそうに話す。

 「西和賀町には土畑(つちはた)鉱山という銅鉱山があって、多い時には2万人ほどの人口があったそうですけど、50年ほど昔の私が中学2年生の頃に閉山になって、だいぶ多くの人が町の方に出ましたね。ここは岩手と秋田の中間点なので、交通の要所として栄えた温泉街だったんですけど、数年前にテレビを見ていたら、西和賀町が岩手県で最初に消滅する町と言われていたですもん」

 生まれ育った故郷への愛着を語りながらも、衰退する町の将来の姿は気になってしまうのだ。

取材前日の夕方、打合わせを兼ねて作業場兼自宅を訪ねると、髙橋さんは故郷でもある奥羽山地の中央部に位置する西和賀町の自然の魅力を語ってくれた。

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