2021年(令和3年9月) 56号

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何かしら蜜が溜まってんだよな

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 髙橋さんは自分を養蜂の新人と言う。だからなのかも知れないが、新しく知った養蜂技術で良いと思ったことは積極的に取り入れているようだ。

 「今年から(ビースペースを)8ミリにしたんですよ。採蜜枠は12ミリの三角駒を付けるんですよ。8ミリにすれば下の(産卵を目的とする)巣箱には10枚入って、(採蜜を目的とする)継ぎ箱には、これまで通りの12ミリを8枚にしているんです」

 巣板と巣板の間隔(ビースペース)は、養蜂家によって様々な考え方があるようだが、全体的にみると12ミリのビースペースを使う養蜂家が多いように思う。それは、日本の養蜂業が早春の菜の花から始まって花を追うように北上していく転飼養蜂の業態から始まっているからと言われている。つまり、巣箱を移動させることが前提の場合は、移動の途中で巣箱内の温度が上がり過ぎて蒸殺と言われる全滅の危険性があり、それを回避するにはビースペースは広い方が良いからなのだ。しかし、最近は春から晩秋まで同じ場所で飼育する定地養蜂が増えているため移動を前提にした12ミリより、巣箱内の温度を高めに維持できる8ミリを選択する養蜂家が増える傾向にあるようだ。髙橋さんも今年からさっそく8ミリを試してみようということなのだ。

 内検を進めながら、髙橋さんがボソボソと言う。

 「何かしら蜜が溜まってんだよな。(近くに植えてある)ヒマワリなんかな。給餌もしていないのに、すごく重くなっちゃってるんですよ。餌になる蜜だから悪い訳じゃないんだけど。今年はシナが良くなかったんですけど、ここで、今年は(一斗缶に)7、8缶採れたんで、ま、良かったかなと思って……。自分ところで売る分には、それ位でも良いのかな」

 

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