2022年(令和4年1月) 58号

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交配用の養蜂は舞台でいう黒子

 「蜂蜜採りは自分たちの生活のためですけど、ビニールハウスで農家さんが交配に使うポリネーションの蜂は社会貢献の蜂なんで、その地域の農家さんを陰で支える存在ですから、舞台でいう黒子のような存在ですから。例えば、大野町名産の柿でも、大野町全体に適材適所で置いて、一つの町で200群の交配蜂を使っているのは大野町だけですよ」

 横で太平さんの話を聞いていた、北海道から大型トラックで巣箱を運んで来た運送会社の西尾和久(にしお かずひさ)社長(72)が「上(縦)の繋がりと横の繋がりがないと、移動養蜂はできないですね」と、太平さんの人脈の広さを、それとなく教えてくれる。

 寺内(じない)蜂場には、もう一台の別の大型トラックで運び込んだ550群の巣箱が整然と並べてある。従業員の鹿野幹大(しかの もとひろ)さん(28)と大橋拓門(おおはし ひろと)さん(23)が、次々と巣門を開けて蜂が自由に飛び出せるようにした後、異変はないか見回っていた。

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