2022年(令和4年2月) 60号

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20数回までは刺されたと日記に書いた

 「小学校の管理職で教員生活は終わったんですけど、その時のスクールバスの運転手だった町田さんが、65歳で辞められた時に名刺をもらったら町田養蜂とあって、ずっと頭にこびり付いていて、私が退職して万が一養蜂をやることになれば教えてくださいと話をしたんですよ。でも、すぐには見学に行く機会がなくて、そのうちに、『理科の先生が見つからない』と言われて、次の先生が見つかるまで半年くらい中学の理科の先生をやりましたかね。退職の区切りが付いて9月の末くらいに町田さんに改めて話をしたら、2日後には2群届けてくれました。それが9月30日なんです。あかみね養蜂の蜜蜂記念日。2群のうちの1群は町田さんが私の退職祝いとして持って来てくれたんですよ」

 良雄さんは最初に届けられた2群の蜜蜂を、玄関に上がる階段下の雨露を凌ぐスペースに並べて置いた。

 「同じ場所に2群置いているのに、内検すると状態が違うのですよね。それで考えました、原因は何かと調べるために西洋蜜蜂の飼い方の本を探したんです。9年前ですけど、本が少ない。インターネットでも調べました。女王蜂がどれだかも分からないし、最初は怖かったですね。刺されるしですね。20数回までは「刺された」と日記に書いていたけど、それから後は当たり前になったので書いていませんね」

 翌年5月には、インターネットで知った埼玉県の貝瀬養蜂場の貝瀬収一さんから蜜蜂1群を新たに購入して3群になる。

 「最初の師匠は町田さんですが、貝瀬さんから購入したような蜜蜂を育てたいというのが目標なんです。貝瀬養蜂から分けて貰った蜜蜂が届いて、巣箱の蓋を開けた時に飛び出した蜜蜂の飛び方が容姿端麗だったんですよね。整然としていて、新しい環境を偵察に行くようにブーンと一周して巣箱に戻るような感じだったんです」

 蜜蜂の飛び方が容姿端麗だったという表現の仕方に、良雄さんが目指す養蜂の方向性を感じさせる。

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