2022年(令和4年5月)62号

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お杓一杯ぐらいの餌やっておく

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 「三重県では、ここがうちのメインの蜂場なんです」と重男さん。「広場」と呼ぶ蜂場は、伊勢自動車道の高架に近く、枡形山(ますがたやま・312m)の麓にある広々とした蜂場だ。この日、重男さんと4代目の有祐(ゆうすけ)さん(37)は、三重県内のイチゴ交配から戻ってきた蜂群の合同をしていた。

 「ちょこちょこ蜂が居るくらいなんを、秋のイチゴ交配までに育てあげる」ためだ。「イチゴ交配は8000匹から1万匹の群やな。無理して働かしているで、生まれる数と死んでしまう数との引き算や」。重男さんが巣箱の蓋を開けて、蜂群の中に女王蜂が居ることを確認しながら説明する。「居った、居った」。有祐さんが女王蜂を見付けて声を出す。重男さんが素早く捕まえて、ピンク色のマーカーで女王蜂の背に印を付けた。「餌をやった方がええな。(巣板を)1枚足そか。(イチゴ農家から)帰ってきて(群の中に)王さん居るんか確認して、次のことがあるんで素早く見付けられるように印をつけるんです」。

 イチゴ交配から戻ってきた群は、ほとんど巣板が3枚ほどの蜂数だ。女王蜂の居る群の巣板を新聞紙で覆って、5月に下北半島へ移動させる採蜜群から追加する巣板の蜂とが直接交わらないようにした上で、蜂群の互いの匂いを消すために「自然のもんでええのを」と探したハッカのスプレーを噴き掛けた。その後、砂糖水を少しだけ給餌箱に入れると、合同は終了だ。「お杓一杯ぐらい餌(砂糖水)をやっておくと、卵を産みやすうなる。ちょっとしたことやけどな」と、重男さん。蓋を閉めると巣箱の角に白チョークで1本の斜線を引いた。合同終了の印だ。

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