農薬を使わない農業を目指す
ヤナギガエキ蜂場で内検をする時津佳徳さんたち
ときつ養蜂園が抱えているもう一つの課題について考える。
ときつ養蜂園は、冒頭に書いたように水田が広がる田園地域の中にあり、蜂場も近い。そこで問題になるのが7月末から8月初旬までのウンカ対策の農薬と8月下旬から9月上旬に散布するカメムシ対策のネオニコチノイド系農薬だ。年3回はヘリコプターで散布するので問題は深刻と佳徳さんが言う。今年の夏は、農薬散布の前に蜜蜂群を農薬の影響が届かないヤナギガエキ蜂場へ移したので被害は無かったらしいが、佳徳さんとしては農薬を使わない農業の方向を目指して欲しいのだが、これは簡単なことではなさそうだ。
蜜源が少なくなっている時期は内検を終えるとビタミン液を与え餌の花粉を与える
「現実に全国のJAの中には有機農業や農薬不使用栽培を積極的に推奨して、学校給食は無農薬米を提供している地域もあるんです。JA山口もそんな方向を目指して欲しいと農家に言っても、農薬会議は30対1で、水田地帯で蜜蜂を飼う方が悪いとなるんですよ。私たちが調べると、農薬を減らそうとしている農家は伸びていますよ。情報を共有して無農薬栽培に向かって欲しいんですけどね。時代は確実にその方向に向かっていますから……。マザーテレサが戦争反対ではなく平和運動をやったように、僕らも農薬反対運動ではなく有機農業推進運動をしていきたいと思っているんですよね。反対ではなく、理念として哲学として。養蜂を始めてやっと7年経ったばかりなのに、山口県養蜂組合の組合長を務めているんです。全国でも最年少の組合長らしいですね。それで、組合員には蜂飼いが地球環境を守っとるというプライドを政治の世界にまで反映させていきましょうと呼び掛けているんですよ」
佳徳さんの熱がこもった話に圧倒される。
高波動水の噴霧が終わるとスズメバチ捕獲器を点検
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