2022年(令和4年9月) 65号

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蜂のことを考えとるのは楽しい

 常雄さんはどうしているかと自宅へ様子を見に行くと、案の定「ま、上がって、茶を飲んでからじゃ」と、人懐っこくお茶に誘ってくれる。今度は断れない。さっそく常雄節が始まる。

 「寝とっても蜂のことを考えとるのは楽しいんですよ。昔は、餌(砂糖水)をやる銭がのうての……。蜂は催促せんから少しずつ分けてやってると、結局は足らんのですよ。そうすると蜂は無理して蜜を探しに行くんですよ。初冬から暮れに咲くビワの花に行くんですよ。雲が掛かったら体が冷えて飛べんようになるんですよ。それで、雲が通り過ぎて太陽が顔を出すと、又、暖かくなって巣箱に戻ってくるんですよ。それだけギリギリの状態で餌を採りに行ってるんですよ」

 さすがに蜜蜂と付き合って70年。観察は細部にわたり、蜜蜂の心情を読み解いている。しかし、常雄節の話題はいつしか、前日届いたばかりの真空土練機に戻っていくのだった。「一緒に蜂場へ行きませんか」と誘ってみるが、常雄さんの腰は上がらない。やむを得ない。明朝一番に、真空土練機の試運転を見せてもらうことを約束して、この日の取材は早めに終えた。結局、常雄さんの写真は、蜂場を案内してもらった時に撮影しただけで、実質的な仕事は何もなかった。明日は仕事をしてくれるのだろうか。不安が胸を過る。

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