気が付いたら頭の周りを蜂がブンブン
移動してきたばかりの巣箱を点検しイチゴ交配用の群を作る
翌日、約束の午後1時過ぎ、バイパス沿いのうどん屋には、野々山養蜂園養蜂部部長の木下友和(きのした ともかず)さん(51)と栃木県塩屋町の養蜂家・小野田裕一(おのだ ゆういち)さん(38)が野々山さんのトラックを待ち受けていた。野々山さんのトラックには積み込みを手伝った畠山さんも同乗して埼玉県まで一緒に来ている。
「フロントグラスが凍っていたので、宮古市を出発したのは午前4時過ぎになりましたね」と野々山さん。9時間も車を走らせ続けて、ようやく到着したのだ。
皆で昼食を摂りながら野々山さんの苦労話が始まった。
「コロナ禍が始まったのは、宮古市に行き始めた翌年だったから大変だったんだよ。まだ近所にも馴染みがないしトラックのナンバーが埼玉だろ。県境を跨ぐなと言われていた時だからな、夜逃げするように、人に会わないように、夜の間に仕事していたな。ご飯を食べに食堂に行っても、他所者だから睨むように冷たいし、あの頃は辛かった」
皆がどこかで身に覚えのある話なので、ウンウンと頷きながら聞いている。そんな話をしていて養蜂を始めた頃を思い出したようだ。
「始めた頃は何も分かんないから、夜でも仕事しなくっちゃと思って、夜中、巣枠を持って仕事をしていたら、疲れて、そのまま眠ってしまったことがあったね。気が付いたら頭の周りを蜂がブンブン飛んでいたよ」。皆が大笑いだ。
イチゴ交配用の群を作るために巣板に集る蜂の状態を見る野々山さん
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