2022年(令和4年12月)67号

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イチゴの4枚群を取りあえず今

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 食事を終えて、岩手から移動してきた巣箱を置く予定の麻生蜂場へ皆で向かった。蜂場は広々とした牧草地で遮る物は何も無い。「ここは、幾らでも蜂場を広げられるんですよ」と、野々山さん。巣箱を並べる予定の一区画は、きっちりと草刈りがしてあり準備は万全だ。

 野々山さんの指示でロープを3メートル余りの間隔で平行に並べて地面に置き、そのロープに沿って50センチほどの間隔で巣箱を置いていく。2トントラックに積んできた約80群の巣箱は、みるみる整然と並べられた。トラックから巣箱を受け取る時の木下さんの表情が喜々としていて、養蜂部部長の木下さんが代表の野々山さんに寄せる信頼の篤さが伝わってくる。20分足らずで全ての巣箱が並ぶと、野々山さんは燻煙器の煙を噴き掛けながら順々に巣箱の巣門を開けていく。

 一区切り着いたところで野々山さんは「イチゴの4枚群を取りあえず今、作っちゃう」と幾つかの巣箱の蓋を開け、1匹の女王蜂と4枚の巣板に集る働き蜂とを1組として、これに給餌器を添え、イチゴ農家へ貸し出す交配用群を作り始めた。巣板に集る働き蜂のボリュームを確認しながら4枚の巣板を抜き出していく。イチゴ交配用として4枚群を作れば、残された巣板の働き蜂は女王蜂の居ない群になるため、宮古市から王籠に入れて連れてきていた女王蜂を王籠に入れたまま巣枠の上に乗せて、働き蜂が新しい女王蜂に慣れるのを待ってから新たな一群とするのだ。イチゴ交配用群を4群作れば、この日、午前4時に宮古市を出発してから1日の仕事が終わりとなる。野々山さんは、明後日には、再び次の移動蜜蜂群を積み込みに宮古市へ行くのだと言う。この時期、養蜂家は体力と気力がなければ続けられない。

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