お手伝いに来ていた人にも
均等に分けますよ
蜂場近くで猟師が捕らえた牡鹿の頭蓋骨
夏の間、巣箱を置いて採蜜と育成をしてきた岩手県宮古市から、越冬のために本拠地とする埼玉県へ巣箱を移動する季節がきていた。野々山養蜂園代表の野々山 純(ののやま じゅん)さん(41)が巣箱を移動する日に合わせて、初冬のみちのくを訪ねた。
すっかり暗くなった午後5時過ぎ、野々山さんが宮古市で借りている住宅街の一軒家を訪ねると、家の前に停めてあった2トントラックの荷台から牡鹿の頭蓋骨を持ち出して蜂場の獣害ついて話が始まった。
トーマネ蜂場で燻煙器を準備して仕事に掛かる野々山純さん
「こいつが今、交尾期でオスがメスを追っかけているんで、電気柵を引っ掛けて倒しちゃって、その後、熊が入っちゃうんですよ。これを土に埋めとくんですよ。そうすると微生物がタンパク質を食べちゃうんで真っ白になるんです。こっちでは(捕った獣の肉を売ったりはせずに)自分たちで食べますね。偶々お手伝いに来ていた人にも均等に分けますよ。クマノイ(熊の胆)を大きくするには熊を興奮させると胆嚢が大きくなるんで、それから20番の弾で顎(あご)や胸を狙って撃つんですけどね。自分では撃たないです。養蜂場の周りに熊が出ると申請すれば罠の許可は出るんですけど……。そんな暇はないんで、地元の猟友会の知り合いに頼んで罠を掛けてもらっています」
ここまで玄関先で話をすると、野々山さんは「寒いから」と家の中に案内してくれた。
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