島の自然はまだ未知数
内検を終えて蜂場を離れる松永政己さん
「マルハナバチとは基本的に棲み分けが出来ていますよ。ウイルスなどは持ち込みたくないですね。2021年7月にユネスコ世界自然遺産に西表島が登録された事実を意識すると、自分たちの勝手ではいけないと思いますね。この島では、養蜂から島の自然が見えてくるし、自然から蜂が見えてきますよ。蜂から見える自然はリアルですよね。この島での僕のやり方だと、養蜂専業は出来ない。この島でビジネスライクに養蜂をやって欲しくないです。自然の生態系を壊さないで養蜂が出来る基準となるデータを出してみたいな。蜂を増やしてはいけません、ということを前提に考えると、僕が行き着くところは『自然環境と蜂の関連を見える化する』。そこですかね。蜂が持ってきたリアルなデータを科学的に示すことが役割だと思っています。環境テロリストになりたい訳ではなく、示したリアルなデータを誰かが使ってくれるならば、それで良いし……、(養蜂にとって)嫌がるデータが出てくるかも知れないけど、正確なデータを出すことが大切だと思うんですよね。西表島の自然は厳しいですから、台風が来れば風速70メートル。松葉が木造デッキに刺さっていたことがありましたね。車も飛ぶくらいだから。巣箱は土台に縛って強風に耐えさせなければならないんです。台風が来ると、去年咲かなかった花が咲いたりするんですよ。生命の強さを感じることがあるんです。自然が見えるんですよ。西表島の植生について、特に、花について調べていますけど、サガリバナに蜂が来ているのは見ますけど、エゴの花の蜜も入りますね。島の自然はまだまだ未知数なんですよ」
蜂場で内検をしようとする松永政己さん
巣板は蜂児が一杯になっている
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