目指した景色が見えてきた
標高178mにあるポコトスカーナの蜂場
作業が遅れがちになると、王台ができているのではと慎重に内検を進める
大村湾を見下ろすデッキでゆっくり話を聞いた後、Cafeの近くにある蜂場へ向かった。オレンジ色や青、黄色と白に塗り分けられた巣箱は、いかにも地中海のイメージだ。この日の内検は、継ぎ箱に入れた巣板に王台ができていないかを確認し、王台ができていれば分封を防ぐために包丁で切り取り、採蜜に備えて楠原(くすばる)蜂場へ翌日移動する準備として巣枠を釘で止め固定しておく作業だ。
洋典さんは5年前から、上手に「春宣言」を行っている。
「5年ほど前からダニ駆除が上手くいくようになって、それから早めに継ぎ箱を上げられるようになったんです。ダニを制することができて、冬に入る前にメチャメチャ(蜜を)溜め始めているので、蜂が元気に越冬できるようになりましたね。それで2月10日から100ccずつチマチマと餌をやって、春が来たよと知らせ、3月10日頃になると、後は蜂が自分たちで蜜を採ってくるんです。昔の僕のやり方は、生活保護してやらないとだめだったけど、今の方法だと(蜂が)自立してやれているから給餌は要らないんです。今のように色々なやり方を試したりできるのは、ダニを制してからですね。それまでは(蜂を)生かすことが精一杯でしたね。毎日のように3箱、5箱と潰れた巣箱を持って帰って、掃除する気力もないというか……。ようやく目指した景色が見えてきたなと思って、それで今年は、まず桜蜜を採ろうと、早めに継ぎ箱を上げたんです。例えは飛躍し過ぎかも知れませんけど、釣れた鯛を2匹3匹持ってきてくれるよりは、雑魚でも良いから釣り方を教えてくれたことに感謝しているんです。最初に2群の蜜蜂を貰って、巣箱の作り方も教えてもらって、後は、自分で大きくしていけましたからね」
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