本来の9倍採れる筈
内検して王台のチェックを済ませると移動に備えて巣枠を釘で止める
この日の夕方、洋典さんはもう1つ、新しい養蜂の技術を見せてくれた。
「これも今年初めて4月10日から始めたんですけど、玉川大学の干場英弘先生が提案しているんですけど、「分封制御・蜜量倍増養蜂」といって、3群で1つの採蜜群を構成する方法なんです。採蜜群の女王蜂は大きな王籠に入れて蜂児を生ませないようにするんです。そうすると巣板全てが蜜巣板になって王台を作らないようになりますよね。そこに別の2つの群から働き蜂をドンドン供給して非常に強力な採蜜群を作るんです。2つの供給群は働き蜂が次々と居なくなるので、分封の怖れから開放されます。こうすることで本来採れるべき蜜の9倍採れる筈なんです。3群で1つの採蜜群だから3倍で標準ですけど、その3倍採れるということなんです」
女王蜂
理論的には正しいのかも知れないが、現実に理論通りいくのかと不安が過った。ましてや蜜蜂の1つの群は、群知能を持って群の秩序を維持する生命体である。その生命体を歪な形で維持する方法はどこかで矛盾を孕み、生命体に無理を押し付けているように思えた。そこで取材を終える前、洋典さんに「何故、リスクの高い新しい方法を試すのですか」と尋ねた。
干場法で一群に集中的に蜂を集める
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