オリーブ栽培は無理
自宅居間で愛犬のセリと一緒に福岡さん
長崎で暮らし始め、イタリア風の自宅もできたので、庭にオリーブの木を植えようとしていると、オリーブの育て方講習会があるのを知った。
「そこで講師が、イタリアから輸入するオリーブの苗は改良されていて収量が多く、1本当たり1万円の利益が見込めるという話なんですよ。トスカーナへ現地見学にも行ったんです。400本ほどの苗を植えました。でも、オリーブ園の事業を始めてから気付いたんです。だいたい僕は、走り出してから考えるタイプなんですよ。3年間の勉強と経験で辿り着いたのは、ここでオリーブ栽培は無理という結論でした。オリーブは地中海気候に適した植物で、日照時間はここでも大丈夫なんですけど、雨量が多過ぎなんです。オリーブで知られる小豆島でさえ地中海の2倍の雨量なんですけど、ここは小豆島の2倍の雨が降るんです。おまけに地中海は冬期に雨が多いんですけど、ここは夏に雨が沢山降るんです。これでは上手くいかないと……。ところが、無農薬でオリーブを栽培していることを証明するために、オリーブの傍に置いていた蜜蜂から蜂蜜が採れるじゃないかと気付いたんです。オリーブは風媒花だから本当は蜂を必要としないんですけどね。ここら辺は昔から和ローソクを作るためにハゼの木が沢山植わっていて、きれいなハゼ蜜が採れるんですよ。始まりがトスカーナ地方の苗木からでしたので、名前は小さなトスカーナという意味のポコトスカーナのままですけどね」
イタリアの雰囲気がある自宅台所。タイル絵のある壁は、イタリアで買ったタイルを洋典さんが自分で貼った
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