トチは蜜源が遠いので疲れる
店舗裏の蜂場で無王群の巣板に王台を付ける
移虫を終えて店舗に戻ると、母親のまゆみさん(60)が広場の奥で巣箱に防腐剤のクレオトップを塗っている。正さんは横の広場で雨合羽を着て巣箱の洗浄を続けていた。妹の珠美(たまみ)さん(37)は店舗で接客と配達を担当しているというから、家族全員で営む玉生美蜂場だ。
裕一さんは店舗裏の蜂場で蜂を分け、その無王群に2日から4日後には新女王が誕生する予定の上平蜂場から持ち帰った人工王台を付けている。細い針金を渦巻き状にして作った手製の王台保護器に人工王台を入れ、巣板の上部に針金を差し込んで止める。
無王群の巣板に針金で作った保護器に入れて王台を付ける
「王台を保護器に入れてやれば8割は順調に新王が生まれるけど、保護器に入れなければ3割は働き蜂に齧られてしまいますね。それにしても、今年は盗蜂が多いですね。近年でこんなに盗蜂が来るのはないですね。外から全然餌が入ってないですね。一気に花が終わったんですね」
蜂が騒がしいなと思っていたが、裕一さんが盗蜂だと教えてくれた。盗蜂とは、自然界に蜜源の花が終わってしまい自分の群の餌が足らなくなると、他の巣箱などに溜まっている蜜を盗りに行く働き蜂を指している。
店舗裏の蜂場は大きな梅の木陰があり過ごしやすいが、それでも繋ぎの服を着て面布を着けているとじっとり汗ばんでくる。珠美さんが差し入れてくれた冷たいリンゴ酢が体に染み入るように喉を潤してくれた。
無王群に餌の砂糖水を与える
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