ゼリーを多く与えた女王蜂は大きい
店舗裏の蜂場で梅の実を採る珠美さんと藤田さん
「あっ、やっちまった。もったいないんで、付けようと思って……」と裕一さんが声を出す。先に、自然王台が2つ付いていた群があったので、王台を1つ残してもう1つを蜂分けした無王群に付けようとして、地面に落としたらしい。「衝撃を与えたくなかったんで……」と悔やんでいる。自然界の小さな命のはかなさだ。裕一さんは「もったいない」と、手製の王台保護器に自然王台を入れ、底をテープで補強している。「(群を)割って時間が経ってないので、前の女王のフェロモンが残っていて、新王の王台を(働き蜂が)齧りに行く可能性がありますからね。人工王台ならプラスチックの王椀が付いていて齧られないので、そこは安全かな」と、自然王台の底を補強した理由を説明してくれた。
蜂を分けて王台を付ける裕一さんの作業が終わる頃、正さんは店舗横の作業場でドンゴロス(麻袋)を切り揃えていた。近年は、巣枠の上に被せるドンゴロスが入手できない状態が続いているという。仕入れてきたドンゴロスを巣箱の大きさに切り揃えてアイロンを掛けている。明日はローヤルゼリー採集と移虫作業の予定だ。正さんとまゆみさんも、明日は蜂場へ行って一緒に作業することになっている。この日の仕事を終えた裕一さんがやってきて、ローヤルゼリーの効果が話題となる。
店舗裏の蜂場で裕一さんが無王群に付ける王台を選ぶ
「どれだけ女王蜂に(ローヤル)ゼリーを与えられるかですから……。ゼリーを多く与えられた女王蜂は体も大きいですからね」と裕一さんが言うと、「全然違うね、全然違う」と正さんが相づちを打って応える。「朝、生のゼリーをスプーン2杯飲めば、夕方の疲れ方が全然違いますよ」と再び裕一さん。「それくらい飲まないと効かないと思うよ」と正さんが応える。「スプーン2杯で40グラムくらいかな。100グラム2万円」と裕一さん。「採る側の苦労を考えると仕方ねえんだよね」と正さん。
正さんが巣箱で使う麻布の形を整える
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