2023年(令和5年7月) 73号

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分封して新王が5匹6匹

 王椀に新たに移虫した王台枠を巣箱に収め給餌を終えると、両親と藤田さんの3人は蜂場から引き上げたが、裕一さんは少し離れた「カーブの所」と呼ぶ蜂場で給餌を終えてから、町役場の地域おこし協力隊が主催した「第1回塩谷町ピッツァフェスト」に顔を出した。そこで玉生美蜂場の蜂蜜を使ったビザを遅めの昼食にして、仲間たちと情報交換の時間を過ごしていた。

 裕一さんは一旦店舗に戻って軽トラに積んであった道具を積み替えると、すぐに梨畑蜂場へ向かった。

 「ここは木陰がない上に周りを囲まれているので、むちゃ暑いんですよ。できればここには来たくなかったですね。イチゴ屋(農家)さんから返ってきた群で蜜が溜まっているのを食べさせちゃおうかなと思って……」

 こう言うと、裕一さんは単箱の蓋を開けて蜜巣板を取り出すと、蜜蓋を切って巣門の前に落とし、蜜巣板は巣箱に戻している。蜜蜂の餌として与えているのだ。巣門の前に蜜蓋が置かれると蜜蜂は突然降ってきた濃厚な蜜に驚喜して山のように群がっている。続けて内検をしていた裕一さんがボソッと呟く。

 「(内検が)遅かったですね。幾つかの群が分封していました。分封して女王蜂が5匹6匹居ましたね。全部新王ですね。そんな状態だったため、4群に分けました」

 一旦は王籠に入れて捕獲しておいた新女王を新たな群の巣箱に放してやると、一瞬戸惑った様子を見せるが、すぐに巣枠の下に潜り込んで姿が見えなくなった。これで新女王が交尾飛行に出て無事に巣箱に戻って産卵を始めてくれれば新たな群の誕生だ。

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