打ち上げ花火従事者資格
蜜巣板の蜜蓋をピンセットで剥ぎ取り当面の餌として蜂に与える
豪さんが使っているスペイン製の巣箱は移動を前提としていないため重いが丈夫にできている
芋川蜂場での内検を終えると、獣除け電柵の電源を入れる前に、電柵下に生えている草を四つん這いになってむしり取っている。草が電柵に触れて漏電するのを防ぐためだが、豪さんの作業の全てがローテクで必死さも伝わり、蜂場を運営する豪さんの姿勢が愛おしくさえ思えてくる。
その時だ。豪さんの携帯電話が鳴った。四つん這いになって草をむしり取っているまま電話に出た豪さんが弾んだ声で話している。電話を切った後、「花火屋の社長から蜂蜜の注文だったんです」と嬉しそうに教えてくれた。
「僕、ちっちゃい時からプロのスノーボーダーになりたくてずっとやってきたので、一生、冬はスノーボードができれば良いという感じなんです。だから夏の仕事は養蜂以外に、打ち上げ花火従事者資格も持っているんです。地元の野尻湖の花火大会は行って打ち上げるんです。花火の仲間も『蜂蜜持って来い』って言ってくれて、蜂蜜買ってくれるんで……。今年は去年の1.2倍くらいの蜂蜜が採れたんで、売り先を少し考えないとなと思っているんですよ」。豪さんの嬉しい悩みだ。
全ての作業を終えた豪さんが電柵の電源を入れると、ポツポツと雨が降り始めた。
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