蜂場の奥にビワの花が満開
巣箱の前で払われた蜂が戻ろうとして一斉に巣門へ向かう
翌朝6時過ぎ、指定された千葉県市原市にあるコンビニの広い駐車場へ行くと、昨日の朝、巣箱を積み込んだ運送会社の4トントラックは、すでに到着していてアイドリングのまま運転手は仮眠している様子だ。間もなくすると、利憲さんが運転する2トントラックが到着し、同時にワゴン車も駐車場に入ってきた。すると、近くに停めてあった3台の軽トラックからも男たちが降りて利憲さんに挨拶をしている。地元の農家から毎年、移動の巣箱を設置する時だけ応援を頼んでいるのだ。「僕らもちょうど今の時期、農閑期で声掛けてもらって助かっているんです」と、農家の一人が言う。もう一人の農家の男性が「眠い、普段こんなに早く起きねえもん」と、目を擦りながらおどけるように言う。
利一郎さんが内検を始める前に燻煙器を準備する
予定していた全員が揃ったところで利憲さんが「3、4か所に分散して置きますから」と説明する。最初は、運送会社のエルフ4トントラックに積んだ巣箱を降ろす蜂場へ車を連ねて目指した。1時間近く車を走らせてようやく蜂場に到着すると、誰もが要領を心得ているようで、巣箱を腰に乗せ背中に負うようにして黙々と運ぶと、広々とした蜂場に整然と巣箱が並んでいく。巣箱を並べ終えた憲二さんが利憲さんに聞いている、「全開で良いのか」。「半分くらいで良いよ」、利憲さんが答える。憲二さんが巣門を次々と半開にしていくと、蜂が一斉に飛び出してきた。別の列の巣門を半開にしていた竜二さんは、さっそく面布を着けて作業をしている。「暖かいからね。脱糞に出ているのかな」と竜二さん。蜂場の奥に2本のビワの花が満開だった。「ビワの蜜は貴重なんですよ。香りも良いしね」と憲二さんが教えてくれる。確かに12月上旬、花を咲かせる樹木は稀だ。蜂が越冬するための餌としても貴重という訳だ。
蜂場の隅にビワの花が咲いていた。ビワ蜜は貴重な冬の餌となる
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