2024年(令和6年4月) 77号

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愛情掛けてやらんと
温和しい蜂は育てへん

 髙野さんに「養蜂の魅力は何でしょうね」と聞く。すかさず「仕事をアウトドアでやれるのが魅力やな」と、答えが返ってきた。

 「半端でねえ開放感があるし、肉体的にはきつい仕事をしていても、空気もいいし、疲れにくいのやな。元から渓流釣りは好きやったね。ヤマメ釣り。1回は、50センチほどのヤマメを釣ったんですよ。えーって感じですよ。その時は1日で2、30匹釣って帰りましたもんね。イワナは普段は警戒心があるけど、土砂降りの時に行くと、川の水が濁っていて足下のところで2、30センチのイワナが入れ食い。もちろん普通は土砂降りには行かない、危なくて……。蜂を始めて渓流釣りはほとんど行かんようになってしもた。養蜂は山に行くだけで発散できるというか……、好きな人でないとでけんわな。たかが虫やけど、愛情掛けてやらんと温和しい蜂は育てへんのやから。凶暴な蜂になると、蓋開けた途端に刺すぞぉという感じで襲って来て、もう仕事にならへんからな」

 最後のところは、髙野さんが孝徳さんに聞かせようとしていたのかも知れない。

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