愛情掛けてやらんと
温和しい蜂は育てへん
「越冬で一番の敵は気温よりダニですね」と、孝徳さん
髙野さんに「養蜂の魅力は何でしょうね」と聞く。すかさず「仕事をアウトドアでやれるのが魅力やな」と、答えが返ってきた。
「半端でねえ開放感があるし、肉体的にはきつい仕事をしていても、空気もいいし、疲れにくいのやな。元から渓流釣りは好きやったね。ヤマメ釣り。1回は、50センチほどのヤマメを釣ったんですよ。えーって感じですよ。その時は1日で2、30匹釣って帰りましたもんね。イワナは普段は警戒心があるけど、土砂降りの時に行くと、川の水が濁っていて足下のところで2、30センチのイワナが入れ食い。もちろん普通は土砂降りには行かない、危なくて……。蜂を始めて渓流釣りはほとんど行かんようになってしもた。養蜂は山に行くだけで発散できるというか……、好きな人でないとでけんわな。たかが虫やけど、愛情掛けてやらんと温和しい蜂は育てへんのやから。凶暴な蜂になると、蓋開けた途端に刺すぞぉという感じで襲って来て、もう仕事にならへんからな」
最後のところは、髙野さんが孝徳さんに聞かせようとしていたのかも知れない。
昼過ぎになって太陽が顔を出したので、孝徳さんが燻煙器を準備して内検を始める
「今年は60群まで越冬できたんで……」と、孝徳さんが自信を見せる
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