地球がコロナになった
ニセアカシアの花 店舗の横で
「店舗は前からあったんですけどね、3年前にリフォームしたんです」と、有限会社小林養蜂園の2代目代表取締役を務める小林豊(こばやし ゆたか)さん(68)だ。群馬県沼田市利根町大原を走る国道120号線沿いに在る店舗は、明るく簡素で清潔感を感じさせる。
「ニセアカシアの花というのが、今、ちょうどいい時期なんですよ。ここ5年は咲かなかったんですが、今年は一気に咲いていますね。ここに来る間にも車で走っていれば、どこにでもニセアカシアの花がちょうど白く咲いていて目立ったでしょ。5年前のコロナ禍の頃から植物がおかしくなったんです。房が小さくなって花が少ない。ニセアカシアがあるからうちの事業をやってこられたのに、人間がコロナになったように植物が……、いや地球がコロナになったようでした。それが今年は5年ぶりにとても良くなったんですよ」
ニセアカシアの花蜜を採りにきた蜜蜂
店舗奥の事務室に入るなり、豊さんが勢いよく話し始めた。
「ところが今年は蜂が良くない。2月3月頃から突然寒くなってしまって蜂が増えない。女王蜂の産卵を働き蜂が促してやっていないようなんです。普通の年なら額面蜂児になっている時期なんですけど、今年は額面蜂児にならないんですよ。蒸し暑くないとだめなんです。気温は上がるんですけど、カラッとしているんで(ニセアカシアの花が)蜜を噴かないんですね。埼玉県に行くとニセアカシアはないんですよ。群馬県がニセアカシアの南限なんですかね。その点、ここは養蜂家に恵まれた土地なんですよ」
【参照】ハリエンジュ(ニセアカシア)は、並木や砂防林などに栽植され、また川原や山麓などで野生する。1877年頃渡来した北アメリカ原産の落葉高木。高さ15m位。托葉(葉柄の基部にある葉片)はトゲに変化する。花は初夏、長さ10〜15cmの総状花序に下げ、芳香を放つ。原色牧野植物大図鑑による
店舗内に蜜搾りの体験ができるように小さな遠心分離機が据えてある
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