蜂をどう動かそうとしているか
小林周さんの内検はゆっくりと丁寧で静かだ
周さんが3代目として小林養蜂園の将来を想像した時、スタッフの多くが自分より年上の世代であることが気掛かりなのは分かるような気がする。それともう一つ、2代目の豊さんと周さんとでは養蜂の方向性が異なると言うのだ。
「巣箱の中で蜂をどう動かそうとしているかが、社長とぼくとは違いますからね。自分は巣箱を開けて群全体がどの方向へ向かおうとしているかを読み取って、それを活かしてやろうとするけど……。群の勢いによっても対応は違ってくるから、あんまりフィーリング過ぎてもいけないし、だからといって蜂の意向も読み取らなきゃいけないし……。蜂の圧というか、勢いと集り方、動き、巣の色とかで判断するんですけどね」
片品川堤防近くの蜂場で周さんが内検する。後方に満開の花を付けるニセアカシアの大木
ここで休憩時間は終わった。3代目の周さんが2代目の豊さんに対して抱いている違和感は、不満というより経験値と得ているお互いの情報が違うためだろうと思う。
少し離れた巣箱で籏福さんが内検を続けている。籏福さんは大学ではスキーをやっていたが、42歳で美大に入学したという変わり種だ。
「自然界で蜂が作る巣がアートだなと思って『ここで働かせてください』って働かせてもらっているんです。すごいインスピレーションが降りてきてオオスズメバチを蜜ロウで描いた絵もあるんです。ここの会社は色々な経歴の人たちが同じ組織の中で働いていて面白いなと思っているんですよ」
片品川堤防の蜂場で周さんが内検する
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