ニセアカシアの白い花が満開
採蜜工場に蜂蜜の溜まった蜜巣板が運び込まれる
搬入口に蜜巣板を積んだ軽トラックが横付けされると、採蜜工場責任者の金子裕(かねこ ゆたか)さん(70)が荷下ろしを手伝っている。金子さんは豊さんが以前勤めていた地元銀行関係の仲間だ。つまり気心の知れた古くからの友人という訳だ。蜜巣板が搬入される様子を見ていた豊さんが少し嬉しそうに言う。
「今年は採蜜のサイクルがいつもより短いですね。蜜が濃いので、蜜蓋を掛けるまで待っていると甘みが濃くなり過ぎて蜜が不味くなっちゃうんでね。アカシア蜜の99.9%は雨で流れているでしょうね。勿体ないですね。蜂が採って来るのは0.1%。蜂場の縄張り争いの話を聞くことがありますけど、争いをするどころじゃないですよ。アカシアの花がない所の養蜂家さんは羨ましいでしょうね」
片品川の河岸段丘にある松林の中に巣箱が置かれていた
採蜜工場を案内してもらった後は、豊さんに沼田市の特徴的な地形である片品川の河岸段丘を遠望できる高台へ案内してもらった。遠くに浅間山や小野子山、子持山を望める展望所で、片品川の流れに沿って段々になった細長い平野が重なっているのが一望できる。片品川の河岸段丘は「日本一美しい」と言われるそうだ。高台で河岸段丘の全体を見た後、階段状になった河岸段丘の谷を一気に下った。片品川に架かる輪組大橋の上に立つと、両岸にニセアカシアの白い花が満開になっているのが確認できる。この光景を豊さんは私に見せたかったのだ。この光景を見ていると、豊さんの言葉「アカシアの花がない所の養蜂家さんは羨ましいでしょうね」も頷ける。
小林さんが持ち帰る蜜巣板と交換する空巣を軽トラに
積み込む
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