2024年(令和6年11月) 81号

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冬囲いの始まりですよね

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 アレチウリの蜜で圧迫している蜜巣板を取り出すと、残りの巣板が3枚になってしまう群もあった。「3枚だけでは越冬は難しいから何とかしないと……」と、蜂児の巣板を入れるか合同するかと力斗さんが思案している。「今は蜂がどんどん減る時期なんで要らない巣枠を抜いていって蜂の密度を高めて、冬囲いの始まりですよね」。

 蜂場の片隅に積み上げてある継ぎ箱に入れておいた巣枠を持ち帰ると言う。「9月にソバ蜜を搾った後の巣枠なんです。ソバ蜜は匂いが強いんで蜂に掃除してもらうために継ぎ箱に預けておいたんですよ」と、私の疑問に答える。もう一つ疑問があった。内検を終えた巣箱の巣枠の上を覆うドンゴロスとハトロン紙を、力斗さんは並んだ巣枠の半分だけに被せている。「今の時期はダニを駆除するために殺ダニ剤をするので、巣枠の半分は開けておくんです」。一つ一つの作業に理由があるのだ。「今年も350群という数がありながら、ダニによってその数を減らしてないので、今のところ成績は良いですね。ダニを落として、どれだけ蜂の数を減らさないで済ませるかが、今の時期の課題ですね」。

 力斗さんがどれほどダニ対策に苦慮しているかが伝わってくる。

 昼前に蜂場から事務所に帰ると、ちょうど慶助さんの二男正人(まさと)さん(45)が朝早くに出掛けた松茸刈りから帰って来たところだった。竹かごに一杯の松茸だ。「こんなん採ったのは初めて」と、正人さんも少々興奮気味である。傍らに居た慶助さんも驚いたようで「長野県の魅力だな」と呟いている。正人さんは養蜂の手伝いはするけど、本業は別だ。この日の午後は、力斗さんが注文を受けた蜂蜜の発送や依頼のあったスズメバチの巣を駆除するために出掛け、取材はなくなった。

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