2024年(令和6年11月) 81号

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夏休みには蜜蜂の研究

 「この辺、松茸の産地なんですよ。隣の青木村の道の駅には、朝の売り出しを待って300人くらい並ぶんですよ」と、はけた養蜂場初代の羽毛田慶助(はけた けいすけ)さん(82)が、500グラムもある大きな松茸をアルコール漬けにした保存瓶を私に見せる。「自分は(松茸採りを)50年ぐらいやっているんですよ」。

 いきなり松茸の話が始まって戸惑う私を見て慶助さんは、今号取材の主人公二代目の内山力斗(うちやま りきと)さん(26)について話し始めた。

 「長女の初孫なんですよ。可愛いじゃないですか。小さい時から連れて歩いて、蜂場にも一緒に行って、小学校の夏休みには蜜蜂の研究をやらしたんですよ。それが勤めていた会社を辞めて蜂屋を継ぐと言ってくれて、3年半になりますかね。私の代だけで終わりと思っていたので、それは嬉しかったですね。今は私が手伝う形でやっているんですけど、蜂屋ってね、忙しい時って、4、5、6、7月だからね。従業員を使うような仕事じゃないよ。販売には地元の農協や道の駅が協力してくれてね。それは有り難かったね。孫は今、ちょうど発展途上です。孫も楽しんでやっているのが良いですね。蜂を怖がらないのが良いね」

 と、ここまで話をして、やはり松茸を販売している青木村の道の駅が気掛かりのようだ。「近くだから行ってみますか」と私に問いながらも、心はもう松茸へ飛んでいる。軽トラックの助手席に同乗させてもらって、一路、青木村へ。「道の駅あおき」の玄関を入ると、目の前の大きな商品棚に一本ずつパック梱包された松茸が並んでいる。時刻は昼前、さすがに行列している客はもういないが、赤い布を敷いて高級感を出した商品棚の周りには品定めの客が数人。高いものは一本19,500円、安くても9,500円だ。「一人で5本も6本も買っていく人もありますからね」と、慶助さん。自分ごとのように得意げだ。

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