2024年(令和6年11月) 81号

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やればやるほど夢もある

 夕方になって、力斗さんが歩行者天国の出店を終えて事務所に帰ってきた。車のディラー勤めを辞めて、一か月ほど他所の養蜂場で基本的なことを学んだ後、はけた養蜂場の2代目として仕事を始めたのだ。力斗さんが後を継ぐ決心をした理由を尋ねた。

 「元々ここ(蜂場の事務所がある諏訪形)が地元でもあるし、人に使われるのが好きでないのもあったしね。爺の仕事を継ぐことで生活ができるのは魅力だったね。この仕事はやればやるほど夢もあるし……。2代目を継いで3年半も経ってんだ、早いもんだな。やっと落ち着いてきて、形ができてきたところかな。色々な人の協力があって順調に進んでくれていますね。蜂ってすぐに結果が見える仕事なので、蜜が採れた時はもちろんですが、最近はダニ処理に対して力を入れ始めていて、その結果も見えてきたので、それが嬉しいですね。めちゃくちゃ困ったなということもあったけど、爺ちゃんを含めて助けてくれる人もいるので何とかなっていますね」

 この日の夜、力斗さんは依頼のあったスズメバチの巣を駆除するために慶助さんの長男の英朗(ひでお)さん(50)と、車で30分ほどの地域まで出掛けて、懐中電灯とヘッドライトを頼りに闇の中で古民家の軒先にぶら下がっていたスズメバチの巣を4個も取り除いた。スズメバチの巣の駆除を頼りにされているのは、養蜂家の一つの社会貢献とも言えるだろう。

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