2024年(令和6年11月) 81号

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建勢の餌として重要

 午後一番に事務所を訪ねると、すでに蜜蓋切りは終わりそうで「あと2枚ですよ、早く写真撮らないと……」と力斗さん。力斗さんはいつも何かに追われるように急いでいる。次々と仕事をこなしていくことが、力斗さんの仕事に対するモチベーションの維持にも繋がっているのだろう。蜜蓋切りはすぐに終わり、遠心分離機が回転を始めた。この日の採蜜は、朝のうちに巣箱から抜いてきたアレチウリの蜜巣板だけだったようだ。人工餌を与えないはけた養蜂場にとって、この蜜は来年の春に活動を始めようとする蜜蜂たちの建勢の餌として重要な役割を果たすことになるのだ。

 慶助さんには丸々2日間、取材に付き合って頂いた。はけた養蜂場の主力は2代目力斗さんに移っているが、慶助さんの話から、養蜂の原点は生まれ育った生活環境に大きく影響を受けていることを感じた。養蜂業は独特な技術を必要とする職業だが、その基礎に養蜂家の自然体験が影響を与えていると教えて貰った気がする。力斗さんのテキパキとした仕事ぶりに若者らしい合理的な勢いを感じたが、慶助さんと過ごした幼少期の自然体験が2代目を継ぐ決心の奥底にあったことは確かだ。

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