2025年(令和7年2月) 82号

発行所:株式会社 山田養蜂場  https://www.3838.com/    編集:ⓒリトルヘブン編集室

〒880-0804 宮崎県宮崎市宮田町8-7赤レンガ館2F

全部合わせると1200群ほど

1

 三重北農協七和支店のある濃州道(旧道)の小さな四つ角を左に曲がるとすぐ、シックな店構えの株式会社舘養蜂場本店がある。代表の舘正浩(たち まさひろ)さん(62)は、挨拶もそこそこに店舗横の事務室に私を招き入れ、長男の央貴(ひろき)さん(36)と二男の英幸(ひでゆき)さん(34)を紹介してくれた。「舘養蜂場本店は私で4代目、息子たちが5代目を継いでくれることになって、私は早い内に会長職に退こうと思っているんです」と、嬉しそうだ。英幸さんが勤めていた銀行を辞めて養蜂を継いだのが6年前。その1年後には央貴さんも勤めを辞めて、息子2人が一緒に養蜂をすることになった。

 「バイクで転んでしまって……」と央貴さんは松葉杖を突いている。私はてっきりツーリングで遊んでいた時の怪我と思い込んでいたら、「スズメバチの見回りに蜂場を巡っていた時に荒れた山道で転んで……」と央貴さんは、私の反応が不本意のようだ。

 一旦は他の勤め先に出た息子たちが、家業を継ぐために戻って一緒に仕事をすることになった喜びというのか、励みというのか、そんな心の底から湧いてくる活力を正浩さんの言葉の端々に感じる取材となった。

 挨拶が終わると、正浩さんは堰を切ったように舘養蜂場本店では1年間に蜂をどのように管理するかを話し始めた。

 「桑名には28か所の蜂場があるんですが、ここは関ヶ原の伊吹おろしがあって、年間3、4回、ひどい時には3、40センチも雪が積もるんです。それで冬は陽当たりの良い蜂場、夏は陰になる蜂場と使い分けます。その他に、今の時期は志摩半島へ300群ほど運ぶんで、全部合わせると昨年の9月の時点では1200群ほどになりますね。10月からイチゴの交配用蜂のリースに入って、2月中旬から入れ替えの時期になるので、それに合わせてイチゴのリース蜂は売り蜂になります。

 春のスタートは600群のうちから選り抜いた300群が元群となります。この辺も昔はレンゲがあったんですが、最近は5月中旬から採蜜が始まります。何群かは桜に掛けるんですけど、桜が終わると流蜜が切れて自活程度の蜜になるもんですから群を落として(蜂数を減らして)管理します。4月20日ぐらいから山形県のサクランボの交配に元群の中から80群を2週間出して、4月初旬から始まる梨の交配に出す80群は元群の他に作ります。梨は農薬がきついんで10日くらいで引き上げます。山形のサクランボからはだいたいゴールデンウィークのど真ん中か、連休明けに帰ってきて、この80群は富山のトチ蜜へ行きます」

 正浩さんの話は、戦国時代の武将が各地で養成している兵士軍団をどのように采配するかという戦術を聞いているようにドラマチックだ。

1
2
3
4

▶この記事に関するご意見ご感想をお聞かせ下さい

Supported by 山田養蜂場

 

Photography& Copyright:Akutagawa Jin

Design:Hagiwara Hironori

Proofreading:Hashiguchi Junichi

WebDesign:Pawanavi