人間にできる事って2割や
朝、蜂場へ行く前に前日の蜂の成績をホワイトボードに書き写して今後の作業についてミーティングを行う
「5月10日にフジ蜜が始まります。それに続いて5月20日にトチ蜜なんです。トチ蜜を富山で2回くらい採って、5月末か6月始めに自社便で80群を北海道へ移動します。基本的には元群として選んだ蜂なんで良群なんです。6月10日くらいからの北海道のアカシアがメインだから、そこにピークを合わせるように調整します。5月中旬のハゼ蜜から始まってクロガネモチの蜜が終わるのが6月初旬。それが終わったら250群をチャーター便と自社便2台で北海道へ運びます。ハゼ、クロガネモチの時でも分封熱が出てきそうな時は、割り群をしてピークを北海道のアカシア蜜に合わせるんです。元群250群と山形県のサクランボへ行っていた80群が北海道のアカシア蜜に行く訳です」
蜂場での内検が終わった後、倉庫で山田淳一さんが巣枠に針金を通す
「割り群をして新しく誕生した800か900群の養成群は桑名に置いてあるんですね。これは新王なんで、北海道のアカシアに行っている1か月間は放っとくんです。その中から翌年の元群になる300群を選び出します。北海道のアカシアに行っている旧王の330群は秋には全て売り蜂として手放してしまいます」
「北海道のアカシアの時、一度6月の始めに帰って来て、7月20日頃に出て行って、北海道でシナ蜜を採って、再び8月10日に桑名に帰って来て、それで、桑名に置いてあった養成群を翌年の採蜜の元群となるように手入れするんです。もう蜜源が切れていますから給餌をして、スズメバチの捕獲器を1000個くらい取り付けますね。昔の蜂屋との違いは1年間の周期をきちっと頭に入れて予定を立てておくことが大切だということですかね。昔は、『ええ日和やからよっしゃ行くか』でしたけど、今は、従業員の休暇との兼ね合いも含めて計画性が必要です。お盆は桑名で過ごして、8月末から芦別(市)、赤平(市)の蜂を全群、十勝へ運ぶんです。その理由は2つありまして、1つは芦別、赤平は国有林が広くてスズメバチが多いんですよ。そこから逃げるために十勝へ移動するんです。芦別、赤平は、そういう所やからシナ蜜も採れるんですけどね。十勝は畑地帯ですからスズメバチが巣を作る所がないんです。9月になると十勝はハギ、アワダチソウ、ソバなどの花粉源が多いので、採蜜はしないでも(蜂には)花粉が重要ですから……。2つ目の理由は、うちは転飼養蜂家なので移動先ごとに兄弟分が居るんです。それで十勝には私の弟分がいまして、十勝養蜂園という親父の代からの繋がりです。8月下旬から巣箱を運んで、その蜂を11月中旬まで2か月半の間、面倒を見てもらいます。私たちは9月初旬には桑名に帰ってきて、こっちの蜂の面倒を見ないといけないんですよね。北海道で蜜を採り終わったら、その後は、桑名の新王の方が大事やでということなんです。弟分の十勝養蜂園は11月になったら越冬に伊勢半島に蜂を持ってくるんで、その期間は、うちで蜂の世話をしているんです」
「養蜂の仕事で、人間にできる事って2割やと思っているんです。残りの8割は蜂であり、花であり、気温であり、天候であり、これは人間が統制できないんやで……。それで子どもや従業員には、人間の都合で仕事はするなよ。絶対、蜂が教えてくれるんやからなと言うんです。それと私は、メモ書きはとらない。メモをとると、どうしても翌年はそれに従ってしまいますので、蜂の今の姿を見えなくしてしまうように思うんですよね」
蜂場での内検が終わった後、英幸さんが倉庫で予備の巣箱に防腐剤を塗る
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