自然資源を価値に変える
コテージやキャビンが並ぶ一画にあるツリーハウスの内部
軽井沢と聞けば誰でもが思い浮かべる、あの避暑地、長野県の軽井沢だ。しかし、今号の取材地北軽井沢は、長野と群馬の県境にそびえる活火山浅間山の北麓に広がる群馬県長野原町の北軽井沢である。北軽井沢の林の中に事業所が点在する有限会社きたもっくは「自然資源を価値に変える」をコンセプトに、キャンプ場や宿泊型ミーティング施設を活用した観光業(3次産業)や240ヘクタールの山林から伐り出した木を薪や建築建材などに価値化する林業(1次、2次産業)を展開する約100人の従業員を抱える地元企業だ。その部門の一つに地域資源活用事業部があり養蜂チームの3人が働いている。
キャンプ場で燃料として使う無料の木
コテージ内部
養蜂チームのリーダーは橋詰将太(はしづめ しょうた)さん(43)が務めている。
「遊休山林に巣箱を置かせてもらって、蜂場1か所に7群から11群。標高300mほどの高崎市内から同じ群馬県内の標高差を順に移動していくんです。高崎市内はアカシアの流蜜がもう終わりかけ、600m、700m、900mの蜂場でフジとトチが今、流蜜しています。これから1000m、1100mの所へ移動してフジとミズキを採蜜して、最も高い所だと1200mまで行きますね。群馬県は九州から北海道までの気候を高低差でカバーできるんです」
今号取材の窓口としてお世話になった百年センターのマネージャー日月悠太(たちもり ゆうた)さん(40)が、自然を活かした多様な事業の中で養蜂チームの果たす役割を説明してくれた。「林業は長いスパンの事業だけど、養蜂は単年度事業なので地域や自然が循環するメッセージを伝えやすいですね。うちでは単花蜜としてではなく、採れた土地の風土を蜂蜜の特徴として商品化しています。自分のところで商品化することによって出口を作り、自然を活かした事業を展開しているということなんです」
林蜂場。八ッ場ダム湖がすぐ林の下に見える
Supported by 山田養蜂場
Photography& Copyright:Akutagawa Jin
Design:Hagiwara Hironori
Proofreading:Hashiguchi Junichi
WebDesign:Pawanavi